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終焉のコドク

自作小説です。 残酷な描写もしますので苦手な方はスルーするのをお勧めします。

第28話 G戦上の出会い

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第28話 G戦上の出会い

 そのボートハウスの前には不死者が1人がウロウロと彷徨っていた。
恐らくは管理人だったのだろう、しかしこのままではボートハウスに逃げ込むことが出来ない。
 前原達也は登山で使われているピッケルを取り出した。
つるはしに似た形状だが持ち運びしやすいように小振りに作られている、岩などに突き立てて使うので片側が鋭くなっていて、不死者相手にはもってこいだ。
これなら労力を余り使わずに、不死者の脳を破壊できると、登山が趣味の同僚に持たされた。
 それを振り降ろしてみたら”ガスッ”と鈍い音がして、不死者の頭に突き刺さった。
不死者は吼える暇もなく、その場に崩れるように倒れこんだ。
 そして、ピッケルを外そうとしたら……外れ無い。
ピッケルは緩くカーブした造りになっているので、深く入ってしまうと外すのに難儀してしまう。
「……ちっ」
達也は舌打ちすると、不死者の頭に足を架けてグリグリとピッケルを揺らして外そうとした。
しかし、赤黒い液体と白いブヨブヨしたものが、流れ出てくるがピッケルは何かに引っかかっているのか外れ無い。
 そんなモタモタする達也の所に不死者がやってくる。
「うがあああああ!」
もうすぐ手が届きそうな距離まで寄って来た。
 人間は不思議なもので、今やってる作業を中断するのを思い付かない事が間々ある。
 ピッケルを手放して、銃を構えればいいのに、達也はピッケルを外す事に固執してしまっている。
「クソッ クソッ」
達也が焦っていると横合いから片山隊長が、達也に襲い掛かっている不死者に斧を振るった。
”バキッ”と音がして不死者の首は、胴体を離れて池の中に落ちて行った。
「前原! 落ち着け!」
隊長は達也の肩を叩きながらいった。
「……ありがとうございます」
達也が礼を言っている間に、ボートハウスに掛かる桟橋に不死者が集まり始めていた。
 達也たちは一旦はボートハウス内に逃れた。
 態勢を立て直す為だ、状況を把握しないと行動する手順を決められない。
さほど広くは無いボートハウスに男たちが10人入るとさすがに狭い。
 ここはボートのメンテナンスなどを行う所なのか大工道具が所狭しと並んでいた。
「怪我人や体調不良の者は申告するように!」
「全員、自分の装備を点検しろ」
「前田は監視につけ!」
片山隊長は次々と指示を出す。
「不死者たちが多数接近中、およそ100体以上!」
ボートハウスの窓から外を見ていた前田が隊長に報告する。
「数が多すぎるな、持ってきた弾薬がすぐに無くなってしまう……」
 達也が自分の小銃に付いている水を拭きながら呟いた。
水に浸ってしまったので、さっさと拭かないと錆びてしまうのだ。
「爆薬で吹き飛ばしますか? C4とここにある釘でクレイモア爆弾作れますよ?」
浜口優がC4の水滴を拭きながら隊長に意見した。
「仕掛けている暇が無い……念の為に作成しておいてくれ」
 片山隊長は浜口にクレイモアもどきを作成するように指示して、自分は疾病センターに行く道を探す為に地図を広げた。
見ると目標の疾病センターに行くには2kmほど歩かないといけない。
「……しかし、参ったな」
片山隊長が頭を書きながら地図を見ていた。


 栗橋友康は愕然としながら、目の前を落ちてゆくヘリを見ていた。
 やがて、ヘリは黒煙を撒き散らしながら、公園の池の中に墜落した。
”た、助けにいく? でも、怖い人たちが乗ってそうだし、でも怪我してたら助けないといけないし……どしよ?”
ドギマギしていたら自衛隊と思われる男たちが、沈みかけたへりこぷたーから脱出して、ボートハウスに逃げ込むのを対岸から見ていた。
そしてボートハウスにつながる細道に、不死者たちが続々と向かうのも見えている。
”むぅ、いくら自衛隊と言えども、あの数で攻められると適わないろうな……よしっ!”
 友康は背中のリュックからキッチンタイマーを取り出し、池の周りの木に縛り付けた。
時間は5分後に鳴らす様にしておいた。
まずは押し掛けている不死者たちの数を減らすのが先決だ。
人工的な音に不死者たちが、食らいつくのは過去の経験から判っている。
 そちらに気を取られている隙に、隊員たちが逃げる活路を開いてやればいいだろうと考えたのだ。
 友康はタイマーを仕掛けた所とは、反対周りで池の外周を回り、ボートハウスに近づく事にして走り出した。
その公園にいた大方の不死者は、ボートハウスに向かっている最中だが、中にはモタモタしている奴もいる。
友康はそんな不死者を水鉄砲で追い払いながら走った。
ボートハウスまで後10メートルくらいの所で、対岸に仕掛けたキッチンタイマーが鳴り始めた。


 片山隊長が地図と睨めっこしている時に、池の対岸側から断続的な音が聞こえ始めた。
”ピピピピピッ”かなり大きい音らしく、ボートハウスに近づこうとしていた不死者たちは、一旦立ち止まって向きを変え始めた。
「……不死者は音のする方に向かいつつあります」
前田が嬉しそうに報告する。
それでも何体かはボートハウスの前に居る。
「残った不死者を排除して、先に進むぞ!」
片山隊長は全員に装備を背負うように指示をして、達也に入り口付近の不死者を排除するように命じた。
 達也はボートハウスの扉を開け、目の前に居た不死者にピッケルを突き立てた。
”ガッ”鈍い音を立てて、ピッケルが頭に食い込む。
「うがああああ!」
しかし、ドアの後ろから不死者が1体襲い掛かって来た。
「くっ!」
 今度こそはと達也は自分の拳銃に手を伸ばして引き抜こうとした。
”ビシャッ!”不死者の顔に何か液体がかけられる。
達也が”え?”と思っていると、液体をかけられた不死者は呻き声を上げながら逃走し始めた。
「そんなデカイ音がするもの使っちゃダメですよ、折角、関心を他に逸らしたのに戻ってきちゃうじゃないですか……」
ボートハウスの陰から両手に水鉄砲を持った友康が現れた。
「さあ! 今の内に逃げましょうよ、あのタイマーは最長5分しか鳴らないですから!」
友康はあっけに取られている自衛隊員たちに促した。
「よし! みんな急げ!!」
 気を取り直した片山隊長が声をかけ、ボートハウスを脱出した。

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