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  <title type="text">終焉のコドク</title>
  <subtitle type="html">自作小説です。
残酷な描写もしますので苦手な方はスルーするのをお勧めします。</subtitle>
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  <updated>2014-03-05T15:31:35+09:00</updated>
  <author><name>もすげん</name></author>
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    <published>2015-10-05T14:00:22+09:00</published> 
    <updated>2015-10-05T14:00:22+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５９話　茶漉し</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>府前基地滑走路</p>
<p>「！　友康！！」<br />
　狙撃銃で強化型と思わしき不死者たちを次々と撃っていた東雲隊員は思わず叫んだ。<br />
「！　友康！！」<br />
　基地へ向かう途中の前原達也も叫んだ。<br />
&rdquo;ィヴォッハハハハ！&rdquo;　&rdquo;ィギャッハハハハ！&rdquo;<br />
　劫火型不死者が吠え、強化型不死者も釣られて吠えた。彼らもまた天敵の栗橋友康を見つけたのだ。<br />
　不死者たちが自分を方を見たのを確認した友康は、不死者たちに向かって&rdquo;お尻ペンペン&rdquo;をしてみせた。どうやら不死者を自分に引きつける為に挑発しているつもりらしい。そして、丘の反対側に向かって防犯ブザーを鳴らしたまま自転車の乗って走って逃げて行った。</p>
<p>「今の内に脱出だ！」<br />
　オスプレイに乗った警護隊長は叫んだ。パイロットはスロットルを全開にしてエンジンの出力を最大にする。いつ不死者たちの気がかわってこちらに向かって来るやも知れないからだ。オスプレイはエンジンの出力を最大にして、ふわりと浮かびあがり府前基地の滑走路を飛び立った。<br />
　そんなオスプレイの横を、友康を見つけて興奮した不死者たちがなだれを打って移動し始めた。不死者たちが我先にと駆けつけようとしている。さっきまで執拗に追いかけまわしていたオスプレイの事は忘れたみたいにだ。<br />
「そうか、ここに栗橋さんが載っている勘違いしていたのか」<br />
　群がって来る不死者たちは、松畑隆二たち医療チームを狙っていると思っていたがそうでは無かったらしい。<br />
「隊長さん、あの劫火型不死者の肩に乗ってる制御型不死者を狙撃するように伝えてください」<br />
　警護隊長の耳元でオスプレイの轟音に負けないように大声を出しながら隆二は指差した。そこには肩に少女のような不死者を載せた劫火型不死者が歩いていた。隊長は判ったというように頷き肩の無線機マイクに何事か怒鳴っている。<br />
「&hellip;&hellip;栗橋さん、人間の面倒事はこっちで片付けますから頑張ってくださいね」<br />
　隆二はオスプレイの窓から、丘を自転車で逃げて行く友康を見ながら口の端を歪めていた。</p>
<p>「よし、彼の援護をするぞ。　前進！！」<br />
　片山隊長は滑走路に残った隊員たちに声をかけた。東雲隊員を始めとする隊員たちが駆け出した。</p>
<p>　友康が丘を降りて逃げている最中に角から飛び出してきた男にぶつかった。ぶつかった衝撃で自転車と共に倒れた友康は、躊躇わずにラバーカップを相手の顔に被せた。友康が不死者相手によくやる方法だ。こうすると噛まれないし、逃げ出す時間が出来るからだ。だが、男の服装を見て手を止める。その男は迷彩服を着て自動小銃を持っていた。&rdquo;ぬぉ、自衛隊員？　不死者じゃない！？　また、やっちまった？？&rdquo;と友康は内心焦ってしまった。</p>
<p>　そーっとラバーカップを外すと、中から達也の顔が現れた。達也のこめかみがひくひくと動いている。<br />
「ありゃりゃ、ゴメンですよ&hellip;&hellip;」<br />
　ひょっとしたら、達也無いかなと思っていた友康は、顔にラバーカップの丸い跡を付けた達也に謝っていた。<br />
「&hellip;&hellip;ったく、確かめろよ」<br />
　達也は倒れて自分の上に乗っている友康と自転車を横にずらしながら言った。&rdquo;あのラバーカップは一度もトイレ掃除に使ってないはずだよな&hellip;&hellip;&rdquo;達也は漠然とした、どうでも良い不安をラバーカップを見ながら考えた。<br />
「相手が不死者かどうかを確かめている間に、僕がやられちゃうに決まってるじゃないですか」<br />
　友康が緊張から解放されたのか、そんな軽口を言って照れ笑いをしていた。<br />
「そりゃ、そうだ。　まあ、無事で良かったよ、最も誰も友康がやられるなんて思ってなかったけどな」<br />
　達也は起き上がり、友康が起き上がる手助けをした。&rdquo;ちょっとぐらい心配してくださいですよ&rdquo;と友康がぶぅぶぅ文句言いながら起き上った。丘の方を見ると劫火型不死者の頭が見え隠れしている。取り敢えず避難する為に近くの雑居ビルに入っていった。</p>
<p>「ところで、その背負ってるのは何だ？」<br />
　達也は友康が背中に背負っている、見慣れない白い筒を指差して尋ねた。<br />
「ああ、これは対不死者用の新兵器ですよ。　不死者は一定量以上の赤外線を目に照射されると見えなくなるんですよ」<br />
　普通の生きている人間ですら、ストロボ光をまともに見ると、しばらくは目が効かなくなる。強い光が残像として目の網膜に残ってしまうためだ。友康は不死者の場合には目の網膜の復原力が無くなっているのだろうと推測していると説明した。<br />
「強力なストロボ光を百ミリセカンドで次々と点燈させています、不死者は目を瞑ることが出来ないので、目を焼き切る事が可能なんです」<br />
　網膜の復原力などの詳しい事は隆二に聞いてくれとも言った。<br />
「実験して確かめてあるから確実ですよ。　こいつは強力な赤外線を出して、不死者の目を潰しにかかるですよ。　五分ぐらい様子を観ていたんだけど見えないままだったですよ。　」<br />
　友康はニートブラザーライト改を達也に渡しながら使い方を説明しはじめた。<br />
「これって元は望遠鏡か&hellip;&hellip;　それにストロボの発光体を取り付けて&hellip;&hellip;　なあ、コレって茶漉し？」<br />
　ニートブラザーライト改の先頭に付いている丸い針金を指さしながら達也が質問した。<br />
「そうですよ、照射範囲を照準出来る円形の奴が欲しかったんですよ」<br />
　友康は両手で丸を作って見渡して見せた。確かにどこを狙っているのかが判らないと使い辛いものだ。<br />
「使い方は簡単ですよ、ここの引き金を引くだけですよ」<br />
　友康は筒に紐で縛り付けたスイッチを指差した。<br />
「&hellip;&hellip;　炬燵のスイッチに見えるんだけど」<br />
　達也は友康のとんでも新兵器に懐疑的になってしまっていた。</p>
<p>「じゃあ早速、試してみましょうか？」<br />
　友康は雑居ビルの隣の路地をドアを少し開けて覗き込んだ。二〇体程の不死者が歩いている。恐らく友康を追いかける為にやってきたのだろう。友康は注意深く観察して強化型が居ない事を確かめた。強化型は他の強化型を呼び込んでしまうので厄介な存在だからだ。<br />
　強化型不死者が居ない事に確信を持った友康は、放置されている自動車のボンネットに上がると一声かけた。<br />
「へい！」<br />
　友康の声に不死者たちは直ぐに反応した。一斉に友康を見たかと思うとずりずりと歩いて来るのだ。<br />
「うぐああああ！」<br />
　彼等には友康の区別は付かないらしいが、人間がそこに居るという事は判るようだ。全員が友康を目掛けて両手を前に出しながら、捕まえようとするかのように歩いて来る。<br />
　友康は慌てずにニートブラザーライト改を肩に掲げた。軽対戦車誘導弾を構えてるのに似ている。違いはミサイルでは無く赤外線が出る事だろう。友康は茶漉し照準器を通して群がって来る不死者たちの目に合わせてスイッチを入れた。キュィーーンと充電する音が聞こえ、やがて照射が始まったらしく、群がってくる不死者たちの目のあたりに次々と当てて行った。不死者の目の部分が赤黒く照らしているのが解る。すると目を照射された不死者たちの行動が鈍った。明らかに対象となる人間を見失ったかのように、両手を前に出して探るような態度を示し始めたのだ。</p>
<p>　友康は、ほんの一分強程で二〇体余りの不死者を全員無力化する事が出来た。派手な音も動作も無いので拍子抜けしてしまうが、不死者は友康を見つける事が出来ないで足掻いている。友康はドヤ顔で達也を手招きした。<br />
「これはこれは&hellip;&hellip;　むぅ、凄い威力だな&hellip;&hellip;」<br />
　照射された不死者は急に立ち止まり、辺りを探るような動作をしだした。達也はわざと不死者たちの前に出て手を振ったり、顔を覗き込んだりした。それでも不死者たちは達也を見つける事が出来ないでいる。<br />
「照射時間は一分間ちょっとぐらい、目を潰したら襲って来る事が出来ないから、ゆっくりと不死者を葬る事が出来るですよ。　耳は潰せて無いので気を付けて下さいですよ」<br />
　自慢げにニートブラザーライト改を掲げてニッコリと笑って見せた。達也は頷き腰からピッケルを外して不死者たちを丁寧に葬ってやった。普段だったら噛まれないように気を付けないとイケナイのだが、この方法なら後ろに回って柔らかい首の付け根を一撃で処分できる。今までの苦労が何だったのかと思う程楽に不死者を始末できた。自動小銃の弾薬が節約できるのも有難い。<br />
　通りに居た不死者を始末し終えると、達也は小隊無線機で片山隊長に不死者の新たなる弱点の発見と攻撃方法について報告した。片山隊長は返信の替わりに劫火型の特徴に付いて達也に話した。</p>
<p>「もう少し長い時間、照射する事は出来ないのか？　デカイ奴はミサイルをかわしちまうらしいんだ」<br />
　達也はニートブラザーライト改を見ながら言った。無線で聞いた話では劫火型は動作が素早くて、攻撃方法に難儀しているらしい。<br />
「間に合わせの道具で作ったんで、これぐらいの照射時間しか出来なかったですよ。　そうだ、スタングレネードが有効かも知れないと、片山隊長に伝えて下さいね」<br />
　友康は白い筒を撫でながら言った。リレーがもう少しあれば永続的に照射出来ると考えているのだ。そんな事を話していると通りの方から&rdquo;ずぅん&rdquo;と何者かが歩いている振動が伝わって来た。劫火型が近づいているのだ。<br />
　間に合わせでも、今在る武器で闘うしかない。友康と達也はお互いに顔を見合わせ頷いた。</p>
<p><br />
　その時、雑居ビルの屋上から子供の泣き声が聞こえて来た。</p>
<p>&nbsp;＊作者より<br />
何故かリンクがこれ以上作れないので、こちらでの公開はここまでです。<br />
続きは「<a title="" href="http://ncode.syosetu.com/n0845ca/">小説家になろう</a>」さんでお読み下さい<br />
既に完結しております。<br />
面白かったのなら評価ポイントが貰えれば、作者のモチベーションも上がりますｗ<br />
宜しくお願いします。</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
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    <author>
            <name>もすげん</name>
        </author>
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    <published>2015-01-07T17:53:42+09:00</published> 
    <updated>2015-01-07T17:53:42+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５８話　飛べない翼</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前基地</p>
<p>　前原達也たちの乗る一〇式戦車はまだビルの二階にいる。前に進もうとすると車体が床にめり込んでしまうのだ。後ろに進もうとしても同じ結果だった。<br />
「うーん、弱ったな」<br />
　戦車長はヘルメットの下に指を入れてポリポリ頭を掻いている。<br />
「戦車に沿って爆破してみてはどうですか？　旨くいけば、そのままストンと落ちますよ」<br />
　達也が意見を具申した。<br />
「うーーん、他に代案が無いし、やってみるか&hellip;&hellip;　仕掛けるのを頼めるか？」<br />
　戦車長は達也を見ながら言った。<br />
「大丈夫です&hellip;&hellip;　たぶん」<br />
　達也と戦車長はお互いに苦笑いしながら頷き合った。双方とも爆薬が苦手だったらしい。達也は戦車の四方の一メートルほど離れた場所に長く棒状に伸ばしたC4爆薬を仕掛けた。こうすれば戦車の重みで過重気味の床が一辺に崩壊して、戦車はストンと落ちるはずだ。<br />
「じゃあ、行きますよ」<br />
　達也が車内に戻ってきて起爆スイッチを手に持って言った。<br />
「おう！　派手に行こうぜ！！」<br />
　操縦手は愉快なことが始まると喜んでいるようだ。戦車長はうなずいただけだ。達也がスイッチを押し込む。すると&rdquo;ズズン&rdquo;と音と埃を巻き上げながら爆薬がさく裂した。それと同時に戦車は下の階に落下してしまった。</p>
<p>　下は外国車の展示場だったらしく、如何にも高そうな車が陳列されていた。一〇式戦車は高級外車を四台程踏みつぶして一階に下りた。ビルに飛び込んだ時には自動車の展示場だとは知らなかったので、これは事故のようなものだ。<br />
「ひゃっはー、上手くいったぜー　さあ、次の戦（いくさ）だぁぁぁ！」<br />
　操縦手が大喜びで手を叩いてから、戦車のエンジンをスタートさせて前進させはじめた。ぐずぐずしていると今度は地下に落ちてしまいそうだからだ。そして操縦手は、まだ無事だった高級車を次々と三台踏みつぶして外の通りに出た。これはきっとわざとだ。</p>
<p>　外の通りに出ると、もう一両の一〇式戦車に出会った。見ると砲台に付いているはずの砲が半分ほど溶けている。劫火型とやり合っているときに劫火をかわし損ねたらしい。<br />
「おーい、そっちは無事か？　こっちは砲がやられちまった」<br />
　壱号車の戦車長が砲台の上から身を乗り出して大声を出している。<br />
「こっちは大丈夫。　でも、射撃盤がいかれたらしい。　目測でしか射撃ができんよ」<br />
　達也の載る弐号車の戦車長が同じように砲台に身を乗り出して返事をした。<br />
「あの、壱号車の砲手をこちらに載せましょう。　それで砲手を交代してください。　目測射撃なら訓練を受けた砲手の方が良い筈です」<br />
　その様子を車内モニターで見ていた達也が、自分の載る壱号車の戦車長に具申した。<br />
「うん、それもそうだな&hellip;&hellip;　それで、君はどうするんだ？」<br />
　戦車長は達也のほうを見ながら尋ね返してきた。<br />
「原隊に復帰させてください」<br />
　達也は不慣れな狭い戦車より、比較的自由に動ける肉弾戦の方が楽だと思ったのだ。<br />
「判った。　見事な射撃だったよ、ご苦労だった。　おーい、壱号車の砲手をこっちに寄越してくれ！」<br />
　壱号車の砲手がやってきて達也と交代し、戦車長と操縦手は敬礼して達也を見送った。これから彼らは基地に接近する不死者を踏みつぶしに行くのだそうだ。戦車砲が撃てないのでは接近戦はかなり不利になるからだ。それに戦車であれば讃美歌もある程度は凌げる。</p>
<p><br />
　自分の原隊に復帰しようと駈け出した達也の頭上を、攻撃ヘリが劫火型不死者を討伐するべく飛んで行った。<br />
　まず、ロケット弾での面制圧攻撃だ。攻撃ヘリの両側に付いているロケットポッドから、オレンジ色の炎を引きながらロケットが次々と飛び出して行った。ロケット弾は劫火型不死者に真っ直ぐに向かっていく。劫火形不死者の背中に何発か命中しているのだが、何もなかったのごとく振る舞っている。目標に命中せず地面で爆発したロケット弾の爆焔と煙が劫火型不死者を包むが、それを振り切るかのように劫火型不死者が顔を出し、攻撃ヘリに向かって劫火を吐き出した。それも断続するかのように&rdquo;ポポポポン&rdquo;と小出しにしてだ。<br />
　劫火の出力を微調整して、連続攻撃する技を編み出した個体のようだ。劫火形不死者の放った劫火が攻撃ヘリを追って空中を飛び、やがて地面にも飛び、劫火の焔に触れた高層ビルの中程を粉砕した。高層ビルの上部階が崩れて来て、攻撃ヘリを飲み込んでしまった。</p>
<p>　もう一体の劫火型不死者が基地入り口にあったバリケードを粉砕した。しかし基地の周りには壕が掘られている。そして渡ることの出来る橋は掛けられていない。すると劫火型不死者は手短な家を持ち上げて壕に投げ込んできた。彼女らは壕を埋立て用としているのだ。基地内から射撃が集中しているが、全て弾かれるか劫火で焼かれてしまった。<br />
　やがて、劫火のひとつが高層マンションに当たってマンションの片側半分が崩れてしまった。そのガレキは壕目がけて崩れ、壕に落ち埋め立ててしまった。<br />
「&hellip;&hellip;まずい、突破されるぞ&hellip;&hellip;」<br />
　その様子を見ていた守備隊の隊長は呟き、手元の無線機を取り上げた。</p>
<p>　劫火型不死者がその劫火でガレキの凹凸を薙ぎ払っていく。劫火で通路を開かれ強化型が侵攻してくる。歩行形はその後を群となってやって来た。その数はざっと見で二千体を超えている。しかし、通りの向こう側にびっしりと不死者が蠢いているのが見えていた。<br />
　前面で防衛に努める戦闘車が劫火に飲み込まれる。<br />
「攻撃地点は常に移動し続けろ！　立ち止まるとデカイ奴の焔に焼かれるぞ！！」<br />
　守備隊長が無線で攻撃対象を指示し続ける。それでも劫火に焼かれてしまう隊員も居る。劫火の他にも聖歌型不死者の歌う賛美歌でも体調を崩す隊員が出ている。彼女たちのような攻撃力のある不死者は仲間がいようと構わなく攻撃してくる。犠牲を厭わない敵はかなりやっかいだ。<br />
「今の地点から後退しろ！　囲まれる前に後退するんだ！！」<br />
　守備隊長が無線に向かって怒鳴り付けていた。ひとつの地点に固執していると取り囲まれて全滅する恐れがあるからだ。それよりも撤退しつつ敵を減らす方が時間を稼げる。しかし、その時間も限られたものになりつつあった。</p>
<p>　守備隊長がふと見ると北門の前方にある通りを二両の一〇式戦車が走っていた。砲を撃つわけでもなく、ただ不死者を踏み潰しているのだ。ときおり後ろを走る戦車が劫火型不死者に向かって砲撃していた。前方を走る戦車はなぜ打たないのかと思って良く見ると砲身が半分無かったのだ。やがて二両の戦車は圧倒的多数の歩行型不死者に囲まれて停止してしまった。時折エンジン付近から煙が上がるところを見ると強引に突破を試みているようだ。しかし、彼らの努力は適わず劫火型不死者の劫火を歩行型不死者と共に浴びせられてしまった。</p>
<p><br />
「&hellip;&hellip;先生たちを避難させるんだ」<br />
　守備隊隊長の悲鳴のような後退命令を聞いていた基地司令は部下に命じていた。<br />
「オスプレイの発進準備！」<br />
　命令を受けた部下は、内線電話で発進場に命令していた。重要人物の松畑隆二たち医療チームを避難させる為にオスプレイが発進準備を開始していた。そして、隆二たちはオスプレイで逃げ出す為に監視センターを後にした。もう、隆二たち医療チームに出来る事はここには無いからだ。必ず生き延びて不死者への反抗を試みるのが、今の隆二たちの使命だ。<br />
「避難民たちは徒歩で海上自衛隊の横須賀総監部に向かってもらえ」<br />
　基地司令は部下に次の命令をした。<br />
「護衛はどうしますか？」<br />
　それを聞いた部下は質問した。<br />
「陸自の戦闘中隊を付けろ、府前基地があの不死者の大集団に飲み込まれるのは時間の問題だ。　基地守備隊が時間を稼ぐから一人でも多く避難させるんだ！」<br />
　ある部下は伝令に走り、ある部下は小銃弾を配っていた。指令は基地を放棄することに決めたようだ。司令は自分用の小銃に弾装を入れながら部下に指示を与え続けた、敵わないまでも少しでも時間を稼いで見せる。彼の背中が語っていた。</p>
<p><br />
　隆二たちの乗るオスプレイは滑走路に出るために駐機場から移動し始めた。その脇を劫火がときおり掠めて行く。オスプレイの挙動に気が付いた劫火型不死者が滑走路に向かって来ているのだ。それを阻むべく自衛隊員らは携帯式対戦車ミサイルなどを撃つがことごとく跳ね返されてしまっていた。オスプレイに迫る劫火型不死者と強化型不死者。その後ろから歩行型不使者が雲霞の様に迫ってくる。<br />
　基地内に居る隊員たちや警備隊の市民たちも、侵入してきた歩行型不死者の相手に忙殺されてしまっていた。歩行型不死者を始末しないと避難民を逃がす機会が無くなるからだ。</p>
<p>　先に滑走路に近寄った劫火型不死者が劫火を吐き出した。オスプレイは右翼ギリギリで劫火をかわして左に走っていく、そこには聖歌型不死者がいた。聖歌型不死者がオスプレイの鼻先に向けて讃美歌を歌う。しかし、オスプレイは急制動をかけてかわしていた。いつまでもこのままではいずれ捕まってしまう。オスプレイは輸送機なので不死者を攻撃する術が無い、こうやって巧みに避けるしか方法が無いのだ。<br />
「まだ、飛べないのか！？」<br />
　護衛部隊の隊長がオスプレイのパイロットに訊ねた。その時に後から来た劫火型不死者が劫火を吐き出し、オスプレイの前方に穴を穿ってしまった。パイロットは舌打ちしながら穴を回避する。<br />
「あの砲撃避けるのには、減速して方向を変えないといけないんですよ。　プロペラの出力を上げている暇が無いんです！」<br />
　パイロットは右に左に避けながら、プロペラの速度を上げようと必死に操作していた。しかし、前方の滑走路に聖歌型不死者が複数居るのが見える。しかも、讃美歌を歌おうとしているではないか。後方には二体の劫火型不死者。隆二の乗ったオスプレイは完全に挟まれてしまった。<br />
　パイロットは首を右に左に回しながら攻撃を凌げるルートを探している。劫火型不死者はニタリと笑った。聖歌型不死者もニタリと笑った。完全に彼女たちの砲撃射線上に居る。プロペラの出力は浮上には足りない。オスプレイは進退極まってしまった。</p>
<p><br />
&rdquo;ピィーーーーーッ！&rdquo;</p>
<p><br />
　不意に、向かいの丘から防犯ブザーの音が響いて来た。その電子音にオスプレイを追い掛け回していた劫火型不死者は&rdquo;何事か？&rdquo;と立ち止まってしまった。そして、他の不死者たちも揃ってそちらの方に顔を向けていた。それまで、辺りに充満していた雑音が消えたように思えるほど、防犯ブザーの音だけが響いていた。</p>
<p>　見ると丘の上に防犯ブザーを手に持った男がいる。<br />
　乗っているのは錆びたママチャリ、子供用のリュックを背中に背負い、肩から水鉄砲と何やら白い筒を斜めにかけている。そして、ママチャリの傘立てに刺さっているのは傷だらけのくたびれたラバーカップ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>　栗橋友康だ。</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
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    <author>
            <name>もすげん</name>
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    <published>2014-12-29T17:24:54+09:00</published> 
    <updated>2014-12-29T17:24:54+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５７話　不死者襲来</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>府前基地の監視センター。</p>
<p>　片山隊長が基地指令と共に指令官室から戻ってきた。前原達也を始めとする彼の部下たちが傍に行き、次の指示を仰いでいるようだ。だが何やら達也と東雲隊員が片山隊長に喰ってかかっている。松畑隆二が何事かと行きかけた時に、室内スピーカーが非常ブザーと共にアナウンスを入れ始めた。基地の中で比較的高い建物である管制塔からの一報だ。<br />
『北門に不死者の集団が接近中！』<br />
　一瞬、全員の視線が室内スピーカーに集まった。<br />
「応戦しろ。　一体も通すな！」<br />
　非常ブザーと共に監視室に入ってきた基地司令が、入り口にあった内線電話で指示を与える。周りにいた隊員隊の動きも慌ただしくなってきた。<br />
　基地司令は次々と命令を出して行く。手空きの者は自分の小銃を取りに武器庫に向かった。<br />
　その間にも不死者たちは増えてゆく、それは黒い虫の塊が津波のように襲ってくるように見えた。監視モニター越しに見ていた隆二は、疾病センター襲撃時のように統率された動きを感じていた。<br />
「新しい制御型不死者を獲得したのか&hellip;&hellip;」<br />
　その時間を追う毎に増えてゆく襲撃者の群れに隆二は思った。</p>
<p><br />
　北門の阻止線では急に現れた不死者への攻撃に追われていた。<br />
「「「うがああああ！」」」<br />
　まだ、基地到達まで距離があるが不死者たちの呻き声は辺りに響き渡っていた。基地の防衛を担う自衛隊員たちは基地の周りに掘られている壕に沿って積まれている土嚢越しに射撃していた。避難民で構成している警備班も武器弾薬の配布などに協力して走り回っていた。また車などをバリケード代わりにしようとして移動させたりもしていた。<br />
「弾幕を張れ！　一体も通すな！！」<br />
　前線の指揮官が双眼鏡で不死者の集団を見据えたまま部下たちに怒鳴りつけている。部下の自衛隊員は歯を食いしばりながら銃撃を続けていた。<br />
「迫撃砲を撃て、出し惜しみするな！」<br />
　&rdquo;ぽんっ！　ぽんっ！&rdquo;と迫撃砲を打ち出す音が聞こえ、その横では轟音を出しながらＭ２キャリバーを打ち続ける。着弾して不死者が弾けて飛ばされるのが見えるが、不死者たちの数は一向に減る気配が無かった。</p>
<p><br />
　一方、監視センターでは対処方法の指示で忙殺されていた。<br />
「なんだ！？　さっきまで何も居なかったじゃないか！！」<br />
　監視モニターが画角を広角に切り替えて北門を映し出した。そこには道路と言わず建物と言わずに、みっしりと隙間無く不死者で埋め尽くされていた。それらの不死者が基地に向かっていた。<br />
「およそ１千体以上！　付近のビルから次々と湧いて来ています！」<br />
「！！」<br />
「北門守備隊応戦中！　応援と補給を要請して来ています！」<br />
「&hellip;&hellip;　下水道？？　地下を通って来ているんじゃないのか？」<br />
「この辺は暗渠（小川などに蓋を被せて歩道などにしている道）が多いから、そこを通っているのかもしれません」<br />
「くそっ！　何も準備が整っていないのに！！」<br />
　監視センターに居る隊員たちは歯噛みしてしまった。基地司令が次の命令を出そうとした時。室内のスピーカーが再び非常ブザーと共にアナウンスを入れ始めた。<br />
『デカイ奴が接近中！』<br />
　劫火型不死者の襲来だ。監視モニターを望遠に切り替えると大型マンションの隣から無表情な埴輪が顔を出した。その目は炎のように赤く光り揺らめいている。口からは何か粘液を垂らしたまま、のそりと歩いて足元の放置車両を踏み潰していく。時折、口を大きく開いたかと思うと、紅蓮の炎を吐き出している。自分の目の前にある障害物を粉砕しているらしい。<br />
　その巨体の肩の所には少女のような小さい不死者が載っていた。　恐らくは制御型不死者であろう。<br />
「これは&hellip;&hellip;　総力戦になるな&hellip;&hellip;」<br />
　基地司令はポツリと呟いた。</p>
<p><br />
　北門の守備隊も劫火型の接近に気が付いていた。守備隊長は複数の銃座に劫火型への攻撃を命じた。設置してあるＭ２キャリバーが曳光弾を従って命中していくのが見えた。しかし、その１２．６ミリの銃撃も弾かれているのが見えた。<br />
「なんて、頑丈なんだ。　対戦車ミサイルを撃て！」<br />
　設置して置いたＡＴＭ－三（八七式対戦車誘導弾）を先頭の劫火型不死者に打ち込んだ。ところがミサイルが届こうとした時に、劫火型不死者はその劫火砲を薙ぎ払うように吐き出し、なけなしの誘導弾を粉砕してしまった。<br />
「くっ、ミサイルに反応出来るのなんて卑怯だろ！」<br />
　そして、劫火型不死者はお返しとばかりに手短なビルの根元を劫火で破壊した。倒れ込んで来たビルはガレキの塊になってバリケードの壕を埋め立ててしまった。今度はそこを不死者たちが渡り始めた。<br />
「銃座を諦めろ！　囲まれると不味いぞ！！」<br />
　守備隊長が無線機に怒鳴った。攻撃を受けた劫火型不死者は銃座へ劫火を吐き出し始めた。最初に狙われた銃座は逃げ出すのに遅れて、中に居た隊員たちは犠牲になってしまったが、次の銃座は逃げ出すのに成功していた。劫火は再び吐き出すのに時間がかかるお蔭だ。<br />
「ちきしょう&hellip;&hellip;　一〇式戦車はまだ来ないのか！」<br />
　守備隊長は無線機に怒鳴りつけていた。守備隊は下がり始めた。不死者に囲まれてしまうと終わりだからだ。</p>
<p><br />
　片山隊長が部下たちに命じた。<br />
「北門の応援に行く、作業かかれ！」<br />
　小隊が基地管理センターを出て行こうとした時。達也は戦車帽をかぶった自衛隊員に声をかけられた。どうやら戦車長らしい。一〇式戦車の前で人数の確認をしている最中だった所に片山隊長の小隊が通りがかったようだ。<br />
「おい、君！　戦車に一緒に乗ってくれ。　砲手が足りないんだ！」<br />
　達也は自分を指差しながら何かを言おうとしている。いきなりの申し出に困ってしまって片山隊長の方を見た。<br />
「手伝ってやれ！　後で合流すればいい」<br />
　片山隊長は苦笑しながら達也に小隊無線機を手渡しながら言った。人手不足なのはどこも一緒だ。戦車長は申し訳ないというように頭を下げた。まあ、これも良い経験になるかと、達也は戦車に乗り込もうとしてある事に気が付いた。<br />
「自分は戦車砲の撃ち方が解らないです！」<br />
　達也は前で戦車長に言った。達也は同じ陸上自隊員とは言え普通化の人員だ。戦車の仕組みがまるで解らなかった。<br />
「大丈夫。　火器管制システムが軌道修正してくれる、引き金を引くだけだ！」<br />
　急き立てられるように戦車内に入った。<br />
「この制御盤モニターに写る十字カーソルを常に敵に合わせるようにコイツで操作してくれ」<br />
　戦車長は砲手席の射撃盤に座る達也の肩越しに、手元のジョイスティクのような操作桿を動かした。<br />
「俺が撃てといったら引き金を引いてくれれば良いんだ」<br />
　戦車長はそれだけ言うと、前方に居る操縦隊員に発進するように怒鳴った。</p>
<p>　二両の一〇式戦車が基地の中を疾走して行った。まだ距離はある。劫火型は火を吐きながら近づいて来る。戦車は走行しながら先頭の一体に砲撃を加えた。<br />
『弐号車、俺たちは火を吐くヤツに集中する！』<br />
　壱号車の戦車小隊隊長からの指示が車内のスピーカーに入った。<br />
「弐号車。　了解！」<br />
　しかし、最初の砲弾は弾かれてしまった。どうやら戦車の装甲並に頑丈か或は衝撃を吸収できてしまうようだ。壱号車の放った砲弾は劫火型不死者の咆哮に蒸発してしまった。劫火型不死者も戦車の存在に気が付き、狙って劫火を吐き出している。一〇式戦車は右に左に蛇行しながら接近を続けた。とにかく、劫火型の注意を自分たちに引きつける、そうしないと普通の土嚢のバリケードでは劫火砲に耐えられないからだ。<br />
　埋め立てられたバリケード用の壕を戦車は渡っていく、不死者たちはぶちぶちと踏みつぶして行った。</p>
<p>　接近している最中も砲撃は続行していた。しかし、戦車砲ですら通じない、弾いてしまうか爆発しても衝撃を吸収してしまう。<br />
「くそっ！　直接、口の中に砲弾を放り込んでやらんと駄目だ！！」<br />
　弐号車が居る場所では高層マンションや高層ビルが邪魔をして、必要な射線を確保出来ない。それに劫火型不死者は移動しながらでも劫火を吐き出す。そのタイミングでしか口を開かないので、狙うのはやっかいな問題だった。</p>
<p>「よしっ！　駐車場ビルと隣のビルの間から射撃するぞ。　ビルからジャンプして射線を確保するんだ！！」<br />
　戦車長がとんでもない事を言い出した。<br />
「壱号車！　弐号車は駐車場ビルから奴の口に砲弾を叩きこむ！　気を逸らしてくれ！！」<br />
　戦車長が無線マイクに怒鳴っていた。壱号車は了解したと返事をして道を離れていく。劫火型の気を引きつける為だ。<br />
「く、空中で撃てるんですか？！」<br />
　達也は思わず聞き返してしまった。<br />
「お前の小銃は空中だと撃てないように出来ているのか？　大した違いは無い、大丈夫！　たぶん&hellip;&hellip;」<br />
　ちょっと自信なさげだが他に代案も無い、達也はとんでもない人たちに関わってしまったと少し後悔してしまった。<br />
「まあ、サスペイションとかエンジンとかが逝っちまうが&hellip;&hellip;　整備長には俺が頭を下げるさ　がはははっ」<br />
　戦車長は豪快に笑って&rdquo;ビルに突っ込め&rdquo;と操縦手に命じた。</p>
<p>「ひゃっはっー！　了解っ！　しっかり掴まってて下さいねーー！」<br />
　操縦手が愉快そうに笑い、そして操縦桿を倒して駐車場ビル内に侵入していった。機甲科の人はこういう人ばかりなのか達也は頭を抱えたくなった。途中に有った軽自動車は踏みつぶされていく。元々、戦車などという重量物を通行させる事を想定していない駐車場ビルの床は、金属製の無限軌道にばりばりと削られていく。その中を一〇式戦車が突進していった。</p>
<p>　弐号車は一階から二階に行くスロープでお尻を振りながら駆け上がっていく。V型八気筒水冷四サイクルディーゼルがフルパワーを出し轟音をビル内に響き渡らせていた。弐号車はビル内に止められていた高級車らしき自家用車を踏みまくって三階へと登っていった。駐車場ビルを滑走している間も、建物にある壁の隙間から劫火型不死者がのっそりと歩いているのが見えていた。時々、その顔に向かって壱号車が放つ戦車砲の火の玉が向かって行くが、事も無げに手で振り払ったり劫火で火の玉を薙ぎ払ったりしている。やがて弐号車は駐車場ビルの端に到達しようとしていた。それでも一〇式戦車は速度を緩めることなく、その獰猛なパワーで駐車場ビルの端に設けられている落下防止用の安全提を突き破って空中に躍り出た。</p>
<p>「いぃぃぃっやっほぉぉぉぉ！！！」<br />
　操縦手が空中に飛び出た瞬間に叫んだ。どうやら操縦手はかなりハイになってるらしい。一〇式戦車は駐車場ビルの３階から飛び出して地上五メートルぐらいを飛んでいった。達也は予め砲塔を回転させて置き、劫火型の居るであろう方向に向けておいた。そして、劫火型の口元に十字カーソルを合わせようとする。戦車長も自分のモニター席で手を握り締めて照準を見ていた。そして照準が重なる。<br />
「撃てぇー！！」<br />
　劫火型の口元に重なった瞬間に戦車長が怒鳴った。<br />
　その声に反応して達也の指がトリガーを引く。&rdquo;ズンッ！&rdquo;と足元から震える発射音を残して四十四口径百二十ミリ滑空砲が吼えた。砲弾を解き放った戦車はその反動で、かなり斜めに傾いでしまいながらも向かいのビルの二階中程に巨大な車体を滑り込ませた。</p>
<p>　いきなり空中に飛び出して来た戦車に、劫火型不死者は反応が遅れてしまったが直ぐに反撃の行動に出ようとした。劫火を吐き出そうと口を開いた刹那に弐号車の砲弾は口腔に飛び込んだ。劫火型不死者の頭が異様に膨らんだかと思うと、&rdquo;ボヴゥン！&rdquo;と呆気なく頭部は弾けて爆砕し、身体はそのまま前に倒れこんだ。<br />
　外からの衝撃には強いが、中からの圧力には弱いのだろう。それにすぐには劫火砲の連射が効かないようだった。まずは一体を粉砕した。結果は上々、問題はどうやって弐号車を地面に降ろすか&hellip;&hellip;だ。</p>
<p>　今度は戦車長が頭を抱えてしまった。</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>もすげん</name>
        </author>
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    <published>2014-12-19T18:17:02+09:00</published> 
    <updated>2014-12-19T18:17:02+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５６話　最後に光あれ</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>府前市内シャッター商店街</p>
<p>　本当は正式な名称があるのだろうが、近所に大型ショッピングモールが出来上がった煽りを受けて、潰れ捲った商店が密集している商店街だ。時の首相の経済委政策のせいでは無いのに、そのせいにして聴衆者から突っ込みを入れられて絶句していた党首がいたらしい。<br />
　目的のカメラ屋に辿り着いた栗橋友康は店の裏手に周り、裏口を&rdquo;バールのようなもの&rdquo;で壊して中に入った。店の住人は逃げた後らしく、耳を澄ませても誰かがいる気配は無かった。しかし、ここは友康が嫌いな建物の一階なので、さっさと店舗側に回り中を物色し始める。食糧や武器などは無いのは分かり切っているので、暴徒もここを襲わなかったらしく店内は整えられたままで、シャッターを上げればこのまま営業が出来そうなくらいに綺麗なままだった。</p>
<p>　カメラ屋には写真写りの効果を出すために様々な光学フィルターがある。その中に赤外線フィルターという種類が有り、友康はそれを探しに来たのだ。赤外線のみを振り分ける言う事は逆に赤外線のみを透過させる事が可能ということだ。<br />
　その赤外線フィルターをライトなりの光源に付けてやれば、強力な赤外線発生源に出来る。これを使って不死者たちの目くらましにしようと友康は考えたのであった。<br />
　次にストロボを分解して発光体を６０個ほど筒の中に取り付けた。これをリレー形式で繋いで順次発光するようにした。百ミリ秒くらいの間隔で光るのでおよそ一分間は連続照射が出来るはずだ。<br />
　試しに引き金を（部品が無かったのでコタツのスイッチを代用）ＯＮにした。キュィーンとストロボに充電される音が聞こえる。やがて、充電完了のＬＥＤが光り発光が開始された。室内の壁が赤く光っているのが判る、赤外線フィルターを通してこれなのだから相当な光量なのだろう。発光は一分程続き赤い光は消えた。本当はもっと連続発光するようにしたかったが、工作の元になるストロボが店内に無かったので仕方がない。<br />
　仕上げに筒の先っぽには茶漉しを取り付けた。照準器代わりだ。筒の後ろと茶漉しを結んだあたりが照射範囲だ。これがないと照射範囲がわからない。友康なりの工夫だ。<br />
「よし！　出来た。　これの名前は『ニートブラザーライト改』だな&hellip;&hellip;　でぅふふふ&hellip;&hellip;」<br />
　最初の一台なので&rdquo;改&rdquo;は変なのだが、友康はそう名付けたかったらしい。</p>
<p>　他に何か使えそうな物はないかとガサガサと店内を物色すると、使い古しの乾電池が大量にあった。これはボーラの重石に丁度良い。割れたら困るので予備の赤外線フィルターも幾つかリュックにしまった。ストロボ用の電池も箱ごとリュックに詰めた。</p>
<p>「最初に光あれって言ったのはモーゼだっけ？　神様だっけ？？」<br />
　どこかで聞いた聖書の一節を思い出したが、友康はサバイバル知識は豊富だが宗教関係はからっきしダメらしい。<br />
「今なら差し詰め&rdquo;最後に光あれ！&rdquo;　だな&hellip;&hellip;　なんちゃって&hellip;&hellip;　でぅふふふ&hellip;&hellip;」<br />
　出来具合に満足したのか『ニートブラザーライト改』を眺めながら、そんな事をひとりで呟いて笑っている友康であった。</p>
<p>　早速、出来具合を試してみることにした。二階建て以上で不死者が居そうな所を探す友康。店のショーウィンドウ越しにちょっと古びたマンションが見え、その屋上に不死者がウロウロしているのが見て取れた。マンションの屋上は大概大きな水タンクがあるので籠城しやすいのだ。その替わり風雨に晒されるので、疲弊しやすく体力の消耗から死んで不死者になってしまう可能性が高くなる。直ぐに救援が見込めない時には最悪の選択なのだろう。<br />
「あそこにするか&hellip;&hellip;」<br />
　友康はカメラ店の裏口から出て、放置された車両の影や民家の軒先に隠れながら移動した。</p>
<p>　マンションの屋上に非常階段で登った友康は隠れながら人数を確認した。敵の情勢を把握しておくのは、とても重要だからだ。数えた人数は八人。幸い走破型も強化型もいないようだ。両方とも独特の歩き方をしているから観察していれば見分ける事が出来る。</p>
<p>　友康は右手にバールと左手になべの蓋を装備している。登山で使うピッケルもあるが腰にぶら下げてある、敵を屠るのに適しているが色々と応用が効くバールの方が良い。そして、背中にはニートブラザーライト改がある。<br />
「おいっ！」<br />
　非常階段の入口から屋上に居る不死者に声をかけた。友康はニートブラザーライト改の炬燵トリガースイッチをONにした。少し時間がかかるのは先ほど試した通りだ。<br />
「うがああああ！」<br />
　友康に気がついた不死者たちは吠えながら向って来た。友康は慌てずに不死者たちの目を次々と焼いて行った。不死者たちは目を焼かれてしまうととたんに動きが鈍くなり、何も無い空中を両手を振り回しながら友康を捜している。</p>
<p>　友康は非常階段の入口で、その様子を観察していた。ひょっとしたら隠れている不死者が居るかもしれないからだ。ちょっと待って新たな不死者が現れない事に確信を持った友康は、武器をバールからピッケルに持ち替えた。<br />
　彼らを始末する為だ。非常階段の入口をそーっと開けて中に入り、目の見えない状態の不死者に近づく、目を潰された不死者は、直ぐ側に居る友康に気付かずに、あらぬ方向に手を伸ばしている。友康はピッケルで始末しようと振りかぶった。だが、手を止めてしまった。</p>
<p>　健常な人間がストロボ光などをまともに見てしまうと、視界が真っ白になり視界が効かなくなる。しかし、ホワイトアウトした後に、じっとして暫くすると視界が回復する。だから、不死者も同じ様に回復するのか、確かめる必要があることに気がついたのだ。</p>
<p>&rdquo;&hellip;&hellip;五分も待てば良いかな？&rdquo;<br />
　友康は待っている間に屋上の柵を壊した。壊したといっても人ひとりが通れるだけの隙間を作っただけだ。支柱の一本を外して、外に向かって隙間を抉じ開ける、バールがあると色々と便利だ。バリケードに使っていたらしい木製のドアを柵の縁に斜めにかけて登りやすいようにしてあげるのも忘れない。<br />
　そして、隙間の近くにキッチンタイマーを置いた。目は潰せても耳は聞こえてる筈だからだ。&rdquo;そうか！　目と耳を潰せば良いのなら、スタングレネードがかなり有効な武器になるんだな&rdquo;　これも後で片山隊長に報告しておこうと友康は心に刻みつけた。</p>
<p>『ピピピピピッ』<br />
　やがてキッチンタイマーが五分経過を電子音で知らせて来た。不死者はその音に釣られて隙間に近づいてくるが傍に居る友康には気がつかないようだ。友康は待ち構えていて不死者が隙間に開いた穴の近くに行くのを待ってから後ろから蹴り出してやった。柵に引っかかっている奴は後ろから足を持ち上げてやると、そのままマンションの縁でバウンドしてから地面に落下していった。蹴り出された不死者は落下し地面のアスファルトに&rdquo;ドシャッ&rdquo;と音を立てて貼り付いた。始末できる時には確実に行っておく事、こうしないと後でツケが廻ってくるのは良くある事だ。</p>
<p>　これで不死者は目を潰されると、再び視力を回復できないのが分かった。これは大収穫だ。何としても松畑隆二たちと合流する必要あると友康は考えた。不死者たちの最大の弱点が判明したからだ。合流するまで簡単には死ねない、武器をもう少し作っておく必要を感じた。</p>
<p>　友康はマンションの屋上からソーラーパネルのある建物を捜した。インフラが壊滅した現在、電気は来ていないので電力を確保する必要があるからだ。工場の屋根に有るのが望ましいが隣家でも構わない。電線を繋いでしまえば良いだろうと考えていた。するとマンションの三軒隣に町工場があるのが見えた。<br />
&rdquo;あそこでいいか&hellip;&hellip;　ボール盤があるといいな&rdquo;<br />
　友康は町工場らしき所に侵入し、ボール盤があるのを確認して隣家に電線を繋いだ。特別、何かをするのではなく普通の延長コードを伸ばしただけだ。<br />
　そして、町工場の片隅にあったボール盤に延長コードから電気を配給してやり、主軸にアルミ缶を取り付けてやすりで削り出した。下剤の残りがあるので簡易テルミット反応爆弾を作っておこうと考えたのだ。</p>
<p><br />
　ニートブラザーライト改、簡易テルミット反応爆弾、パンスト・ボーラ、水鉄砲、ラバーカップ。<br />
　武器は整った。不死者たちの弱点も分かった。さあ、反撃の開始だ。<br />
　ふと見ると工場の出口の部分に大型バイクが止めてある。たぶん１０００ｃｃあるのだろう。どっしりとした重量感が格好良かった。<br />
「これにしようかな&hellip;&hellip;」<br />
　バイクに跨り発車しようとしたがハタと気が付いた、運転の仕方がわからないのだ。<br />
「あ、俺ってばバイクの運転なんかできねぇじゃん&hellip;&hellip;」<br />
　そばに錆びだらけな三輪のママチャリとマウンテンバイクがある事に気がついた。マウンテンバイクはまだ新車らしくサドルにはビニールのカバーが付いたままだった。何よりも格好良い。<br />
「&hellip;&hellip;　これでいいや」<br />
　友康は迷わずママチャリに装備を積み始めた。新品のマウンテンバイクは目に入らないらしい。後ろの荷籠にバッテリーやらニートブラザーライト改を積み込み、ハンドルの部分にある傘フックに差すのは勿論&rdquo;ラバーカップ&rdquo;だ。</p>
<p>「よし！　待ってろよ&hellip;&hellip;　不死者どもめ&hellip;&hellip;」</p>
<p>　準備が整った友康は前を睨みつけ、そのままふらふらと自転車をこぎ道路に出た。そして、十字路を右に曲がった&hellip;&hellip;　しかし、すぐに戻って来て左の方向に走って行った。どうやら行き先の方角を間違えてしまったようだ。</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>もすげん</name>
        </author>
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    <published>2014-12-13T18:14:23+09:00</published> 
    <updated>2014-12-13T18:14:23+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５５話　無人偵察機</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前基地</p>
<p>「なんて事だ&hellip;&hellip;」<br />
　劫火型不死者が雑居ビルを攻撃する様子は、府前基地が放った無人偵察機で監視していた。最初は敵地の真ん中に取り残された栗橋友康を捜す為だったのだが、いきなり現れた巨人の不死者に動揺していた。無人偵察機はマルチコプターにビデオカメラと無線機を載せただけの簡単な物だ。監視モニターの前に居た隊員たちはその巨大さに驚愕したが、それよりも口から吐き出された劫火の方に関心が集まった。</p>
<p>「あのデカイ奴は身長が５メートルぐらいありそうだな、それに火を吐いたように見えたぞ？」<br />
「いや、口の周りに粘液らしきものが垂れ下がっているから、火じゃないと思う」<br />
「火じゃないな、その証拠に周りの建物に延焼による出火が見られない」<br />
「自分には発射する前に光が口の中に集まっているように見えた」<br />
「じゃあ、ビーム兵器なのか&hellip;&hellip;」<br />
　マルチコプターが送ってくるライブ映像に、隊員たちが思い思いに話し合っている。そこに疾病センターから救出されきた松畑隆二たちが合流した。新種の不死者が出たので基地司令が意見を求めたのだ。</p>
<p>「荷電粒子加速砲ですかね。　他にコンクリートを溶かしてしまうようなビーム兵器は思いつかないです」<br />
　島田隊員がモニターから目を離さずに報告した。彼は自分のモニターに劫火を咆哮する様子を繰り返し再生していた。<br />
「劫火型か&hellip;&hellip;　また新種の誕生なんだろうな&hellip;&hellip;　」<br />
　溜め息を付きながら松畑隆二がポツリと言った。栗橋友康が聖歌型不死者の対処方法を見つけてくれたのに、また振り出しに戻ってしまうからだ。<br />
「このデカイ奴は聖歌型不死者の様に防ぐことは出来るのかね？」<br />
　横で聞いていた基地司令が聞いてきた。基地の防御態勢を見直す必要があるのかを心配しているのだ。<br />
「んー、見たところコンクリートを溶かしてますからね、戦車の装甲ですら無理でしょうね」<br />
　島田隊員が頭を掻きながら返答する。<br />
「じゃあ&hellip;&hellip;　どうすればいいのだ？」<br />
　基地司令は集まっている面々に尋ねてみた。何も対案が無ければサーモバリック爆弾で爆撃しようと彼は考えていた。隆二も首を傾げるだけで返答が出来ない。<br />
「まずはアパッチヘリによる威力偵察を具申します、敵の戦力がどの程度か判らなければ適切な攻撃方法を策定出来ません」<br />
　島田隊員が答えた。取り敢えず、どんな武器が有効なのかを推し量ろうと言うのだろう。<br />
「この基地と劫火型不死者の距離が近すぎます。ここは一先ず逃げましょう、そして航空機による爆撃をお勧めします」<br />
　片山隊長が答えた。だが、基地司令は唸ってしまった。逃げようにも航空機が足りないし、陸路でも動員できる車両に限りがあるからだ。基地には自衛隊・警察・消防など関係者の他に避難民など、合わせて三千人程の人間が詰めかけている。直ぐには避難できない。<br />
「まず、栗橋氏を探しましょう。彼の観察眼のヒントから、これまでも何度も助けられましたからね」<br />
　隆二が友康を探すように提案した。<br />
「島田。　栗橋氏が最後に確認されたのはごみ焼却場だったな？　そこに無人偵察機を差し向けるんだ」<br />
　基地司令が島田隊員に無人偵察機の操作を命じた。</p>
<p>「強化された皮膚や骨格に、邪魔な物を溶かしてしまう熱線を吐き出す能力、全地球的な情報通信網を備えた生物&hellip;&hellip;」<br />
　基地司令は呻くように劫火型の特徴を言い出した。<br />
「コドクウィルスは神の兵隊でも作ろうというのかね？」<br />
　他の隊員も疾病センターのメンバーもモニターを見るのに夢中になっていた。<br />
「&hellip;&hellip;どんどん手強くなって行くな、ところで栗橋氏はまだ見つからないか？」<br />
　誰も答えてくれないので、自分が考えているコドクウィルスのイメージを呟いていた。<br />
「はい、見つかりませんでした」<br />
　無人偵察機を操作している隊員が答える。<br />
「&hellip;&hellip;　ったく、じっとしていないな」<br />
　そこに基地の副官が現れた。なんでも淡路島に作られている臨時政府から基地司令と片山隊長にテレビ会議の呼び出しが来ているのだと言う。<br />
「君！　避難計画の立案を行うようにしてくれ」<br />
　傍に居た女性自衛官にそう告げると、基地司令は片山隊長を連れて基地司令官室に向かって行った。</p>
<p>　基地司令が監視室を去った後は、各隊員たちがざわざわと喋っていた。<br />
「あの、体育館の中をもっと見てみたいのですが&hellip;&hellip;」<br />
　松畑隆二が議論白熱する監視員を制して言った。<br />
「はい、何か居ましたか？」<br />
　捜査員は隆二を見ながら体育館付近の地図を呼び出した。マルチコプターに目標のGPS座標を記憶させるためだ。こうしておけば無線の信号が途絶えても自力で記憶座標まで戻ってこれる。迷子防止用の処置なのだ。<br />
「いえ、あの劫火型不死者の発生原因が何なのか確かめないといけませんのでね」<br />
　隆二は疾病センターで強化不死者同士が共食いしているとの東雲隊員の報告を受けていた。それが本当なら証拠が体育館にあると踏んでいるのだ。<br />
「了解しました。　予備機を待機させますので少々お待ちください」<br />
　操作担当官は複数飛ばしているマルチコプターを操作して、近所に展開していたもう一台のマルチコプターを呼び寄せた。こうしておけば深く入って電波が途絶しても予備の機から無線を中継させることが出来るからだ。<br />
　その準備を終えたマルチコプターは体育館に空いた穴から侵入した。<br />
　体育館の中は暗く、穴から入ってくる光だけでかろうじて見える程度だった。だが、それで十分だった。中は何か爆撃でもあったのかと見間違う程にバラバラ死体だらけだったのだ。その動く物の無い空間をマルチコプターは映し出していた。<br />
「死体がバラバラですね。　手のみとか足のみとか&hellip;&hellip;　んー、これは恐らく共食いした後ですね」<br />
　隆二はその映像を見ながら隣に居た柴田医師に話しかけていた。柴田医師は口元を押さえたまましゃがみこんでいる。人の体を切ったり縫ったりする外科医である彼にも正視出来ない有様であった。<br />
「内臓は無いという事は咀嚼されてデカイ奴が取り込んだと見るべきか&hellip;&hellip;」<br />
　隆二が独り言を呟いている。柴田医師は落ち着かない様子で部屋の中を歩き回り冨田看護師に叱られていた。<br />
「カニバリズム&hellip;&hellip;ですか？」<br />
　冨田看護師がモニターを注視しながら聞いてきた。緊急外来の看護師であった彼女はグロイ画像に耐性があるらしい。<br />
「&hellip;&hellip;　し、自然界ではカニバリズムはさほど珍しい事では無いのですよ」<br />
　柴田医師がそれを受けて説明を始めた。モニターに背を向けているのは殺戮画面を見たくないからなのだろう。<br />
「多くの昆虫が共食いを行います。　カマキリやクロゴケグモなどのようにはメスが交尾した後、オスを食い殺すことはよく知られています。交尾後にオスを捕食してしまう昆虫は他にも多く存在します。これは、メス自身に良好な栄養状態を保ち、卵の発育を促すためであると考えられています」<br />
　柴田医師は昆虫に詳しかったらしく、とうとうと昆虫の生態を語っていた。というかグロ画像を見なくて済むのなら何でも良かったらしい。<br />
「「「&hellip;&hellip;」」」<br />
　会議室が急に静かになった。<br />
「&hellip;&hellip;　な、なんで、みんな私を見てるんですか？」<br />
　会議室に居る男たちは冨田看護師を注視していた。交尾後にオスを食ってしまうメスのカマキリをイメージしたのは冨田看護師には内緒だ。</p>
<p>「コホン　　もっとも人間同士の場合にはクールー病という病気に罹患する危険がありますけどね」<br />
　軽く咳払いをして、隆二が説明を続けようとした。<br />
「クールー病？」<br />
　自衛隊員の一人が尋ねてきた。<br />
「狂牛病に似た神経変性疾患で、現在のところ治療法はありません。　クールー病を罹患すると脳がスポンジのようになってしまうんですよ。　身体が震えてしまう・ろれつが回らないといった症状がみられ、やがては身体を動かすことや唾を飲み込むなどが困難となってやがて死亡します。　異常プリオンというタンパク質に感染してなると言われています」<br />
　かつて狂牛病にかかった牛を食べて、脳がスポンジ状になってしまう奇病（クロイツフェルト・ヤコプ病）が欧米で流行った。その原因が異常プリオンと言われている。<br />
「コドクウィルスは異常プリオンと関係があるのでしょうか？」<br />
　冨田看護師が尋ねてきた、唐突に異常プリオンの話になった理由が知りたかったのだ。<br />
「それは不明ですが、私は異常プリオンとの関連を疑っています。歩行型が強化型になるには、なんらかの切っ掛けが必要なはずなんです、そうでなければ今頃は強化型だらけになっているはずです」<br />
　確かに強化不死者になれる者とそうでない者の個体差があるのは謎だった。<br />
「そういえば強化型の頭部を調べたときに、妙なタンパク質が分析結果に上がって来たけど、あれが異常プリオンだったのか！」<br />
　柴田医師がおでこに手を当てて言い出した。分析結果を見ながら独り言をブツブツ言っていた時に自分で正解を当てていたのだ。それを隆二は聞き逃さなかったのであろう。<br />
「じゃあ、異常プリオンを持つ女性の不死者が強化型や劫火型になるのか&hellip;&hellip;」<br />
　島田隊員が言いながら、目に付いた不死者の数を数えていた。後、何体ぐらい発生する可能性が在るのかを心配しているらしかった。<br />
「共食いは歩行型不死者や強化型不死者が体内に精製した物質を取り込んで、劫火を放てるだけに成長出来るようにする為でしょうね」<br />
　隆二が劫火を吐き出す劫火型不死者を指差しながら言った。<br />
「じゃあ、コドクウィルスは炭素繊維を作らせるために、我々人間を襲っているんですか？」<br />
　冨田看護師が不快感を隠さずに言った。自分たちが狩りの対象になっている事を改めて確認する事になるからだ。<br />
「はい、人間だってチーズやバターの為に牛を飼ってるじゃないですか。　同じ事ですよ」<br />
　隆二は口元をゆがめながらことも無げに言った。</p>
<p>「さあ、栗橋さんを探しましょう&hellip;&hellip;」</p>]]> 
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            <name>もすげん</name>
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    <published>2014-12-06T18:48:25+09:00</published> 
    <updated>2014-12-06T18:48:25+09:00</updated> 
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    <title>第５４話　冷凍倉庫</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前市内冷凍倉庫。</p>
<p>　ここは府前市民の胃袋を満たすべく世界中の海産物を冷凍しておく倉庫だ。内部は広く、様々な冷凍食品が山のように積み上がっていた。日本人の代表的な好物の海産物と言えばマグロだ。世界中の海で取れた身の丈ほどもある本マグロから近海で取れたメバチマグロまで冷凍されて保存されている。その本マグロは床に並べられて永遠に来ない出荷を待っていた。</p>
<p>　まぐろ、まぐろ、まぐろ、ともやす、まぐろ、まぐろ&hellip;&hellip;</p>
<p>　栗橋友康は冷凍本マグロの間に隠れていた。<br />
「さささささ&hellip;&hellip;　むむむむむ&hellip;&hellip;　いいいいい&hellip;&hellip;」<br />
　歯がガチガチと鳴るぐらいに寒い冷凍倉庫の中。それでも不死者が何体かうろついていた。<br />
　劫火型不死者を目撃した友康は基地に向かおうと走っていた。だが、道路を走って角を曲がろうしたときに、不死者たちの集団に鉢合せをしてしまったのだ。幸い走る不死者は居なかったらしく、強化不死者や劫火型不死者が出てくる場面は無かったが、それでもそれなりの数の不死者に囲まれてしまった。前後を挟まれて逃げ道に窮した友康は冷凍倉庫の中に逃げ込んだのであった。</p>
<p>　冷凍倉庫の扉を閉める暇が無かった為、何体かの不死者が侵入されてしまったが、彼らは友康を発見出来ないで彷徨っていた。友康は保冷倉庫に入った瞬間にその寒さにビックリしたが、入り口付近に有った防寒具を着て、更に上から非常用保温シート（防風・防水機能で保温が出来る銀色のシート）を羽織っていた。それでも冷凍倉庫のマイナス二十度では、余り役に立っていなかった。</p>
<p>　隠れる場所が少ない倉庫の中、シートに包まって白い息を吐きながら冷凍まぐろの間に寝そべって、不死者の集団が行き過ぎるのをじっとしていた。不死者たちはあまり目が効かないのは判っている、冷凍まぐろの間にいる友康には気が付かずに通り過ぎた。旨くかわせそうだ。</p>
<p>「ぶぁっくしょい！　チキショーメ&hellip;&hellip;」<br />
　しかし、余りの寒さに友康はクシャミをしてしまった。もう少しで上手く行くのに、肝心な所で全てを台無しにするのは友康の持って生まれた性分らしい。慌てて口元を抑えたが遅かった。その音に反応を見せた不死者たちが振り返り友康の方に歩いて来たのだ。三メートル・二メートル&hellip;&hellip;　一メートル&hellip;&hellip;　しかし、足元に居た友康に気付かないのか彼らは通り過ぎてしまった。</p>
<p>　友康は保冷シートから目だけを出してその様子を見ていた。　&rdquo;動かなかったのが幸いしたのかな？　それとも保冷シートのお陰なのか&hellip;&hellip;&rdquo;　漠然とした疑問を抱きながら、友康は冷凍倉庫からこっそりと抜け出した。しかし、街角でまたもや不死者の集団に鉢合わせしてしまった。人数は五体ほどだ。<br />
「！」<br />
　驚愕してその場に張り付いたかのように動かなくなった友康。しかし、不死者の集団は友康の存在に気がつかないのか、やはり通り過ぎて行ってしまった。<br />
「&hellip;&hellip;なんで？」<br />
　そんな不死者たちの行動を、友康は横目で見ながら思わず呟いてしまった。この近辺には爆撃前に多数の不死者が集結しているのは判っている、だから急いで離れなければならないのも判っている。しかし、すぐには動かずに不死者の集団が見えなくなるまで、その場でじっとしていた。今、起こっている現象を解明する必要性を感じていたのだ。</p>
<p>　そういえば松畑医師が&rdquo;不死者は赤外線で見ているのかもしれない&rdquo;と言っていたのを思い出した。<br />
　じっとしている間、疾病センターの地下警備室で松畑隆二と柴田医師の会話を思い出していた。　&rdquo;不死者は赤外線で健常な人間を識別しているかもしれないとも言っていたな&hellip;&hellip;&rdquo;　それなら不死者が自分を見つける事が出来なかったのは、全身を覆う保冷シートを被って体温を外に逃がさないようにしているお蔭だと説明が付くと友康は考えたのだ。</p>
<p>　友康は自分の考えを確かめる事にした。&rdquo;だったら、不死者を健常者と勘違いさせてしまえば良くね？&rdquo;　と考えたのだ。そこで不死者たちに見つからないように調剤薬局に赴き、漂白剤（次亜鉛素酸ナトリウム）と下剤（酸化マグネシウム）を確保するついでにある物を探した。略奪者が見向きもしないもの『携帯式カイロ』だ。高齢者の体温保持用に大概の調剤薬局に大量に保管されている。祖母の介護を手伝った時に近所の薬局に買いに行かされたので知っていた。&rdquo;赤外線に反応するのなら、これが有効なのではないだろうか？&rdquo;　と思い付いたのだ。</p>
<p>　友康はさっそく実験してみる事にした。調剤薬局の前の通りには何体かの不死者が所在無げに歩いている。友康は調剤薬局の二階に上がり、窓から一階の庇の上に出て不死者が来るのを待ち構えた。<br />
　カイロは服に容易に張り付ける事が出来る様に片面に糊が付いている。その面を下にして反対側をラバーカップの棒の部分に洗濯バサミで挟み込んでおいた。こうしておけば不死者の頭にカイロを張り付ける事が出来ると考えたのだ。<br />
　そして軒下をうろうろしている一人の不死者の頭にラバーカップの先で貼り付けてみる。だが、その不死者がしばらく歩いているとカイロがずりずりっ&hellip;&hellip;　ポトンと落ちてしまった。<br />
「あっ　&hellip;&hellip;　本体が落ちた&hellip;&hellip;」<br />
　その不死者はカツラを被っていたのだった。緊張して事態の推移を見守っていた友康は脱力した。しかし、それが緊張を解してくれたのだった。</p>
<p>　友康は深呼吸をして気を取り直して、次の不死者に狙いを定めた。今度は見た限りでは女性なのでヅラの可能性は無い（たぶん）。ラバーカップの先に付けたカイロを女性の不死者のおでこに張り付けた。<br />
　そして、顔は全部出さずに「おい！」と大声を出した。周りに居た不死者たち。最初は声のした方に顔を向けたが、すぐにおでこにカイロを張り付けた女性の不死者に気が付いたようだ。<br />
　その不死者たちの反応は素早かった。<br />
「うがああああ！」<br />
　たちまち女性の不死者は囲まれて首に噛みつかれてしまっていた。その女性の不死者は首を噛まれ過ぎて頭がポロリと落ちてしまった。しかし、不死者たちはその頭にも群がり噛みつこうしていた。頭の無くなった身体の方には見向きもしなかった。<br />
「&hellip;&hellip;　やはり、赤外線に反応するのか」<br />
　不死者たちの激しい反応に、友康は携帯式カイロの有効な運用方法を考え始めた。</p>
<p>　&rdquo;赤外線を感知するという事は、強力な赤外線を照射すれば、不死者の行動の自由が効かなくなるんじゃないのか？&rdquo;　つまり不死者が受動出来る以上の光線を目に浴びせれば、視覚を飽和状態にさせる事が出来る。視覚で対象を識別しているのであれば、かなり有効な目くらましになるだろうという事だ。</p>
<p>&rdquo;目くらまし？&hellip;&hellip;　！　&rdquo;</p>
<p>「そうか！　目を潰してしまえば良いのか！！」</p>
<p>　友康は指をパチンと鳴らそうとしたが&rdquo;スカッ&rdquo;と音がしただけだった。&rdquo;じゃあ、強烈な赤外線を発生させる装置を作ればいいじゃん！&rdquo;　そして行動の自由が効かない内に不死者を始末してしまえば良い。これなら&rdquo;強烈なビーム&rdquo;を出すデカイ不死者にも通じるに違いない。<br />
　物理的に目を潰すには狙撃できる銃や弓などが必要だが、友康には無いので接近する必要がある。だが、光源であればある程度離れて攻撃が出来る。ヘタレ具合なら右に出たがる者がいない友康には打って付けの方法だ。この事を基地に避難している松畑隆二や前原達也に教えてやりたいが連絡方法が無いのでそれは後廻しだ。<br />
「俺ってば天才！　でぅふふふ&hellip;&hellip;」<br />
　友康は強烈な赤外線を発生させる装置を思いついたらしく、調剤薬局を出て通り一本向こうにあるシャッター商店街を目指して歩き出した。</p>]]> 
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            <name>もすげん</name>
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    <published>2014-11-28T21:29:42+09:00</published> 
    <updated>2014-11-28T21:29:42+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５３話　劫火の紅光</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前市広域ごみ焼却処分場。</p>
<p>　栗橋友康はごみ焼却場屋上の昇降口から一階まで難なく降りる事が出来た。昇降口での攻防の時に騒いだせいで、不死者は昇降口に集中し、そこをアパッチがまとめて葬ってくれたおかげだ。<br />
　もちろん残った不死者たちが少数いたが、物陰に隠れながら下まで降りて来たので見つかる事は無かった。友康は不必要に闘う事好まない。何しろ一人で行動しているので、闘うとその物音で周りの不死者を集めてしまうのだから当然であろう。コソコソと静かに移動するの良しとしていた。</p>
<p>　ごみ焼却処分場を抜け出した友康は○&times;ハイツと言う名前のボロアパートの二階に上がっていった。一階を避けるのは不死者に襲われた時に逃げる方向が限られてしまう為だ。外の階段を上がり五室並んでいる部屋のドアノブを片っ端から廻してみて、そして開いていた二番目の部屋に侵入した。まず探すのはもちろん食料だ。<br />
「独身者用なのかな&hellip;&hellip;　碌な食い物が無いや&hellip;&hellip;」<br />
　使いかけのスパゲティやインスタントラーメンが残っていたがお湯を沸かす手段が無い。社会インフラが壊滅してしまうと、インスタント食品は取扱いに困ってしまう。非常食には向いていないのかもしれない。<br />
　友康はインスタントラーメンの袋を手でもみほぐしして中身をバラバラな状態にした。そして、添付されているスープの素を振り掛けて食べ始めた。<br />
　夜中に小腹が空いた時に、よくこうやって食べたのだ。猛烈に喉が渇くのが欠点だし、栄養の面で感心しないが取り敢えず腹は膨れる。ボリボリと乾麺を食べながら室内を物色すると化粧品や衣類が多数見つかった。<br />
　室内の乱雑さや食料の少なさから勝手に男の部屋だと思っていたのだが、どうやらこの部屋の住人は女性だったらしい。女の子の部屋は奇麗に片付いているとの幻想を打ち砕かれたようだ。友康は脱ぎ散らかっていた女の子の下着を見てドギマギしてしまったが&rdquo;例の物&rdquo;がある可能性に気がついた。<br />
「じゃあ、アレを持ってるな&hellip;&hellip;」<br />
　クローゼットをおもむろに開けると目的の物は小振りなチェストの中に有った。パンストだ。チェストからパンストをリュックに詰め始めた。ボーラを自作する為だ。重石なら河原に行けば小石はいくらでもある。<br />
　ふと見るとパンストの下にコンドームが有った。それも詰め込んだ。ナニに使うのでは無い、水を確保する時に使うのだ。ポリ袋と兼用すれば水漏れの心配の無い水筒が出来る。しかも、ある程度は丈夫だ。汚れても洗ってしまえば再利用できる。<br />
「&hellip;&hellip;　た、大量にあるな、俺は数えるほどしか使った事が無いのに、トホホ」<br />
　誰も聞いていないのに無意味な虚勢を張る素人童貞の友康であった。結構、お盛んな人だったらしくコンドームを三ダース程手に入れた。友康は次の調達物資を探し始めた。<br />
「漂白剤無いかな&hellip;&hellip;」<br />
　不死者除けの水鉄砲がカラだったので補充がしたかったのだ。水はトイレのタンクに残っていたが、肝心の漂白剤が無い。洗濯をコインランドリーでするタイプの住人だったのかも知れない。スタンガン用の乾電池も欲しかったが無かった。友康は諦めてその部屋を出て隣の部屋に移って物色を続けることにした。</p>
<p>　友康がボロアパートで家探ししている頃、その斜向かいにある学校の体育館で異変が始まっていた。<br />
　学校の体育館の薄暗い闇の中に何かが動いている。そこには不死者になりきれなかった人間の死骸や、歩行型不死者の残骸が隙間なく詰め込まれている。<br />
　その中央付近に強化型不死者が一体居た。しかし、よく観察すると他の強化型不死者より一回り大きい。そして、その強化型不死者は目の前に居た不死者を頭から食べ始めたではないか。強化型不死者はお互いに共食いしているのだ。<br />
　つまり、体育館に雑多に散らばっている死骸は彼女の食事の後だったのだ。まだ、動ける不死者たちは何も疑問に感じる事が無いのか、自ら進んで強化型不死者の前に進み出て捕食されていった。<br />
&rdquo;バリッバリッガリッボリッ&rdquo;　体育館の中には咀嚼される不死者の音がいつまでも響いていた。</p>
<p>　強化型不死者は共食いすることで、彼等の体内に出来上がるカーボンナノチューブや様々な生成物を濃縮しているのだろう。そして、ある程度の大きさになると昆虫が脱皮するように、小さくなった体を脱ぎ捨てているのだ。<br />
　仲間を食い終わって暫くすると、不死者の身体は膨らみ始めた。その腹には何かが動いているのが見て取れる。やがて、背中の表面にひびが入ったかと思うと、割れて中から一回り大きな不死者が現れてきた。<br />
　強化型不死者が次の悪意へと羽化しはじめたのだ。ずるりと脱皮した強化型不死者は更に大きくなっている。羽化したばかりの身体からは水蒸気が立ち上っている。</p>
<p>　立ち上がった不死者の身長は五メートル弱程もある。一般的な二階建住宅位の高さである。<br />
　そう、新たな種類の不死者の誕生だ。<br />
　その強靭な身体は銃弾は勿論の事、多少の焔では傷が付けられなくなっていた。<br />
　顔は埴輪に似て目・鼻に対応する部位に穴が開いているだけで、口は横に薄い線が入っているだけだった。身体は人間だったときの名残りなのか、胸が膨らんではいたが他に性別を示す特徴はどこにも無かった。しかし、強化型になれるのは女性だった不死者だけなので&rdquo;彼女&rdquo;と呼ぶべきなのだろう。<br />
　しかし、その無表情の顔面から受ける印象は違って見えていた。目は燃え上がるように赤く染まり、口元から紅蓮の焔が顔を覗かせ、この世へ生を受けたことへの怒りに満ちているようだ。そして、額や身体のアチコチからは汗の代わりに漆黒の煙りを棚引かせている。彼女は非常に温かい体質らしい。</p>
<p>　立ち上がった不死者は不意に笑った。或いは笑ったように、見えただけなのかもしれない。口に相当する部位がすぅっと開き始めたのだ。彼女たちの得意な賛美歌を歌おうとしているように見えた。<br />
&rdquo;シュゥォォオオ&hellip;&hellip;&rdquo;　<br />
　少しずつ開く口元が眩しいオレンジ色の光を放ち始め、その能面のような顔面にある空気が、まとわりついて陽炎のように揺らいでいる。<br />
　大きく大きく口をニチャーという感じで開いた。口元には何やら謎の粘液が糸を引いている。そして粘着質の唾液らしき物が糸を引きがら身体に垂れ、溜め息のような薄青い煙が吐き出される。口腔の奥の方に集結してゆくオレンジ色の光は、堪り兼ねたように溢れ出て、凶暴な破壊力を持った劫火の紅光を解き放った。<br />
&rdquo;パウッ！&rdquo;<br />
　照射される時間が短いせいなのか、その射撃音は思ったよりは迫力は無い。しかし、破壊力は凄まじく戦車砲並みに有った。<br />
　彼女の劫火の紅光は自分が居た体育館の壁を蒸発させた。かつて壁のあった部分は丸く溶けて、その縁からは熱を発しながら煙が立ち上がっていた。<br />
　彼女は劫火型不死者なのだ。<br />
　その劫火型不死者は体育館の壁を通り抜け、大通りに面した所に出てきた。そして目の前にあったビルに向かって再び劫火の紅光を放った。３階だてのビルが爆散では無く、氷が熱い蒸気に触れるかのように溶けて蒸発していったのだ。<br />
「ィギィジャァァァアアアッ！」<br />
　その結果に満足したのか劫火型不死者は虚空に向かって大きく咆哮を行った。</p>
<p>　そう、コドクウィルスは不死者を『荷電粒子加速砲』が照射出来る様にしたのだ。体内に取り込んだ素材を使って連鎖反応型圧電素子を作り出し、効率よく発電させる方式を生み出したらしい。その際に出される膨大なエネルギーを使っているようだ。<br />
　閉じこもっていた体育館を出た劫火型不死者は、頭を少し持ち上げ周りを見渡し、やがておもむろに歩き出した。&rdquo;ンズゥーーン&rdquo;と完成体が歩く度に地響きが唸る。長い両腕は体重を支えるために地面に着いている。その呟きなのだろうか&rdquo;シャーーー&rdquo;と壊れたようなラジオの様に雑音を周囲に撒き散らしていた。<br />
　目を転じると体育館だけで無く、校舎と思わしき建物からも光が溢れて壁が無くなると同時に違う劫火型不死者が現れた。コドクウィルスは劫火型を量産することに決めたらしかった。</p>
<p><br />
「な！？　&hellip;&hellip;ぇ？　&hellip;&hellip;ええぇぇ？？」<br />
　その様子を偶然、ボロアパートの二階から友康は見ていた。そして目の前で繰り広げられた光景に目を見開いて驚愕してしまった。今、存在する強化型ですら、あんなに苦労するのに巨大なサイズでしかも火を吐くのだ。恐らく強化型以上に防御が強固に違いない。経験上で考えるに不死者は続々と強力になっている。友康は憂鬱になった。<br />
「あれって元々人間だったんだよな？　というか火を吐きだすって映画に出てくる怪獣じゃんか」<br />
　友康は急いで静かにアパートを抜け出し、大通りの道を走り出した。&rdquo;ちょ、あれはシャレになんねぇよ&hellip;&hellip;&rdquo;　怖いもの知らずの友康といえども、ラバーカップではどうにもならないと考えた。今は敵との距離を取る事が優先するのだ。<br />
　不死者たちには絶大な人気を誇る友康を見つけたら、寄ってたかってあの&rdquo;火&rdquo;を集中砲火されるに違いにない。<br />
「なんとかしないと&hellip;&hellip;　みんなと連絡する手段は何か無いのか？」<br />
　偶然とはいえ目撃が出来たということは、日本中或いは世界中で劫火型の羽化が起きているのは確実だ。それらの対策を考えるためにはもっと情報が必要だった。その為には府前基地を目指さなければならない。友康は無人となった街を走っていった。</p>]]> 
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    <published>2014-11-20T17:32:58+09:00</published> 
    <updated>2014-11-20T17:32:58+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５２話　府前基地</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前基地。</p>
<p>　陸上自衛隊の駐屯地も関東には三十箇所あった。しかし事変後には朝霞駐屯地と習志野駐屯地しか残っておらず他は全滅した。事変の始まりのときに全ての傷病民の避難を受け入れたため、避難民の中で発生した不死者と外から襲撃する不死者に挟撃されてしまったからだと言われている。<br />
　府前基地が無事だったのは、その目立たなさであった。何しろ住んでいる市民ですら、市内に自衛隊の基地がある事を知らない人が多いのだ。<br />
　戦前は旧陸軍の燃料補給基地であった為、基地の敷地は広く作られていた。戦後は米軍を経て航空自衛隊に移管された過去を持つ。しかし、航空機の管制業務や陸・海・空自衛隊が必要とする気象情報の作成・提供を主要な業務としている為、普段は実働部隊はおらず今回の事変においても後方支援を主な業務としていた。<br />
　その為、怪我をした家族を抱えた一家は他の場所へ保護を求めて移動してしまい、残ったのは比較的軽傷の避難民が多かったのだ。<br />
　現在は隣にあった公園に避難民の一時収容と保護を行っている。基地の警備などは関東の各地にあった自衛隊の残存部隊が来ていた。基地に面する直線道路を航空機発着用の空間として利用しているが、何分にも急造であるため夜間の離発着は設備の面から無理だった。<br />
　ここに保護した避難民は瀬戸内海にある島々（海を隔ているので安全を確保しやすい）か北海道に収容されるのを待っていた。地元に残ることを望む者が多かったが食料に限りがあるので受け入れられること事はなかった。<br />
　<br />
　基地指令官は不死者対策として基地の周りに壕を掘らせた。建築で使うユンボなどの重機を動員して掘らせたのだ。幅・深さを２メートルくらいにしておけば、不死者は渡って来る事は出来なかった。そして、壕に水を張り堰堤に木の杭を立てておけば不死者たちは入って来るも、壕に張る水は多摩川から引いて来れば良かった。<br />
　壕に落ちた不死者は、しばらくは水の中で足掻いているが、やがて腐敗して膨らみ水流に流されていった。勿論、そのまま海に流してしまうのでは無い。途中に堰堤を設けて流れ着いた不死者を最終処分していた。<br />
　壕には橋は作られてはいない。細い丸太とガイド用ロープを組み合わせれば、緊急の際に出入りする事が出来るようにはしてある。不死者たちはバランスを取ることが出来ないから、丸太を使って渡る事が出来ずに掘りの中に落ちるはずだ。でも、これはあくまでも緊急用だ。<br />
　現在、府前基地には直接的な入り口は無い。バリケードは不死者に数で襲撃されると突破されてしまうからだ。前回の時には基地の人員の半数以上を失うという犠牲を払ってしまった教訓から廃止したのだ。<br />
　どうやって出入りをするのかと言うと中程度のビル同士を鋼鉄ロープで結んだ簡易ロープウェイを作って人員だけをそれで運ぶのだ。戦闘用車両などは、その都度鋼鉄製の橋を延長させて出入りさせている。</p>
<p>　しかし、基地司令官はそれでも安心できないのか基地内に不死者対策の罠をそこかしこに設けさせていた。<br />
　罠というのは幅１０ｃｍの板を格子状に渡して置く、その下に釣り針のような返しを付けた釘を埋め込んだ１メートル四方の網を敷き詰めておく。こうすると直線でしか移動しない不死者は板を踏み外し罠に足を取られてしまう。罠に掛かった不死者たちは外す事が出来ないのでその重い網を引きずってしまう事で行動が制限出来る。そこをさす叉と斧を持った自警団が処分してしまおうという算段だ。これなら歩行型の不死者にも走破型不死者にも対応できる。いちいち銃を使っていては弾が勿体無い。<br />
　また、丈夫な丸太と針金を組み合わせて、対不死者用の罠が全ての通路に張り巡らせている。針金は地面から六十センチくらいの高さにしてあるので、急ぐときには針金を潜ればいいのだ。通路はジグザグに進めるようになっている。不便だが入り込まれた時に、咄嗟に逃げるのには役に立つ、生存するのが最優先だ。<br />
　そして、壕が作られると付近の住宅からソーラーパネルを移設した。現代人は電気が無いと生きていけないからだ。不死者を追い払うポンプを動かすのにも電気は必要だ。</p>
<p>　一番やっかいなのが&rdquo;讃美歌を歌う奴だ&rdquo;と松畑隆二が基地司令官に報告していた。<br />
「何故、あの超音波砲が讃美歌なのですか？」<br />
　基地司令官は素朴な疑問を隆二に聞いてみた。<br />
「敵味方関係無く破壊する無慈悲な神の力みたいだからですよ。　だから讃美歌なんです」<br />
　隆二は口の端を歪めながら答えた。後で片山隊長に聞いたらこれは彼が微笑んでるのだと聞いた。&rdquo;なるほど、学者と言うのは変わった考え方をしておるもんだ&rdquo;　基地司令官は色々な意味で感心した。　<br />
　学者等はこのタイプを聖歌型不死者と名付けていた。これで不死者は「歩行型」「走破型」「制御型」「強化型」「聖歌型」の五タイプに分類される事になったようだ。勿論あとの型になるほど強くなる。これまでは全てをただ&rdquo;不死者&rdquo;と呼んでいたが分別出来るようになったので報告が楽になる。</p>
<p>　基地司令官は壕に沿って十メートル間隔で銃座を設置していた。その銃座の形は聖歌型不死者対策で卵のような形をしている。超音波砲の音圧を逸らしてしまおうと言う考えだ。銃座には対物狙撃銃のバレットＭ８２Ａ１や対人狙撃銃Ｍ２４ＳＷＳを備えて置いた。片山隊長の小隊からの報告で５．５６弾が効かないと聞いていたからだ。<br />
　最初に使用するのはボウガンから放たれる弓矢、それが駄目な時には小銃、弾かれるのなら強化不死者なので大口径ライフルの出番だ。隆二からの忠告で強化型不死者は超音波砲を撃てるように進化するので必ず始末をつけるように警備隊員に申し渡されていた。</p>
<p>　基地の外周には不死者を定期的に駆除するための施設もあった。不死者は人間を見つけると諦める事無くその場所に留まってしまうので、しつこい者は首狩りをしているのだ。数が集まりすぎると厄介な事になるのは経験済みだ。<br />
　首狩りに使う道具は鉄パイプに細工をしてあるもので、鉄パイプに電動巻き上げ機に繋いであるピアノ線を通し、先端を輪っか状にしておく。不死者の手の届かない場所から、不死者の頭に輪っかを通してから手元の電動巻き上げ機で一気に閉めるのだ。こうすると輪っかの中にある不死者の首はスポンと刈り取ることが出来る。<br />
　もちろん頭は動いているが、動かないので余裕を持って潰す事が出来るのだ。音も小さいのでコツコツと周りの不死者を処理するのに向いている道具なのだろ。頭を処分する時にはうろついている不死者に漂白剤をかけて追い払っている。</p>
<p>　基地の中（というか隣にあった公園を避難場所にしていたのだが）にいる避難民たちには全員に何らかの形で仕事を与えていた。人間暇になると碌な事を考えないのが世の常だ。自暴自棄になって暴徒化されると厄介な事になるのを防ぐ為だ。<br />
　避難民たちは朝起きて罠の整備や前日に捕まえて処分した不死者の焼却処理などをする者。簡単な農場があり農作業をする者。自警団は男たちが交替で付き、自衛官を小隊長にして基地内を見回っている。<br />
　農場には育成に難しい物は植えない、作物に植え付けているのは大豆だ。これなら素人集団にも手に負えるし、第一大豆が無いと味噌も醤油も作れないので我々日本人にとっては大問題だ。他にもホウレンソウなどの野菜も植えていた。<br />
　自給自足出来るようにする為には、もう少し安全地帯を広げる必要があるが、そこまでは手が回っていないのが現状だ。</p>
<p>　前回の大襲撃で基地を失われ掛けて、苦労して奪還してからは不死者の襲撃が下火になっていたが、疾病センターの騒動を見ると、まだまだ油断が出来ないようだ。<br />
　そこで基地司令官は無人偵察機の作成を命じていた。マルチコプターと呼ばれる十字型の梁の端に、それぞれにプロペラが付いているヘリのような飛行形態をするタイプの機体だ。一見すると玩具みたいだがカメラを搭載出来て、プログラムで自動飛行が出来るので定期的な偵察が出来る。人員が限られている現状では有り難い無人偵察機だ。<br />
　早速、テスト飛行をやらせてみた所、近隣の調布飛行場からの映像が送られて来た。出来れば飛行場を自分たちで使用したかったからだ。貨物機を離発着させる事が出来れば避難民たちの送り出しや貨物の受取が捗る。今の道路を利用した滑走路では地下にあるインフラ物（ガス管・水道管・排水管）のせいで重量のある貨物機が使えないのだ。<br />
　出来ればマルチコプターに武装を施したいのだが、それだと大型化してしまい、軽量で取り回しの良さが失われてしまうので、偵察用に特化して運用していた。</p>
<p>「調布飛行場の様子なんですが、無分別に避難民を収容したので不死者で溢れかえっているようですね」<br />
　マルチコプターを操作している技官が基地司令官に告げていた。ざっと見て数千体の不死者がいるようだ。普通なら獲物を求めて、バラバラに散って行動するのが不死者なのだ。まとまっているのは珍しかった。<br />
「彼らが飛行場から抜け出して、こちらに向かって来る可能性はあるのかね？」<br />
　基地司令官はドローンから送られてくる画像を見ながら隣にいる松畑隆二に尋ねた。府前基地と飛行場は直線距離で二キロ程度しか離れていない。彼らがその気になれば一時間程度で着いてしまう。<br />
「幸い出入り口が小さいので外には出て来られないようです。　疾病センターで感じたのですが制御型がいたらやっかいな事になるかもしれません」<br />
　隆二は疾病センターで見かけた、統率されている不死者たちの襲撃模様を報告していた。これだけの人数で制御型が発生していないのは何故なのか考え出した。制御型が居ればとっくに移動しはじめて、健常な人間が多数いるこの府前基地を襲撃しているはずだと考えたのだ。<br />
　栗橋友康の存在がキーになっているとの考えは隆二の胸にしまっておく事にした。<br />
「一度、偵察小隊を送る必要がありますね。　健常者の有無を確認してからCB爆弾での爆撃を検討したほうが良いかと思います」<br />
　府前基地に於いて工作を担当している島田隊員がモニターを見ながら具申していた。開けた場所はCB爆弾の威力を発揮出来る場所なので、多数の不死者を一度に退治出来るチャンスだ。基地特製のドラム缶&hellip;&hellip;では、なくてCB爆弾ならチヌークでぶら下げて投下が出来るからだ。<br />
「うむ、そうだな&hellip;&hellip;」<br />
　強行偵察を出来る部隊は限られている、実戦で鍛えようにも経験者が少ない。寄せ集めの部隊ばかりなので各隊員の技量が分かりかねているのもある。<br />
「&hellip;&hellip;また、片山君に命令するしかないのかな？」<br />
　基地司令官は腕組みをして考え込んでしまった。出来れば休ませてやりたかったのだ。</p>
<p><br />
　その府前基地の食堂に疾病センターから脱出してきた一行が居た。彼らは府前市広域ごみ焼却処分場でのアパッチが攻撃する模様を見ている。<br />
　まず、超音波砲の射撃の軌跡が見えた。超音波砲は白い軌跡を描いて飛んでいくのだ。ヘリがその軌跡の方に近づくと処分場ビル屋上の昇降口の上に男性が一人だけ居るのが見えた。その周りには不死者の群れが蠢いている。しかし、ヘリからではどれが強化型不死者なのかは判別が付かない。<br />
　ヘリのガンナーは迷わずに殲滅することを選んだようだ。　&rdquo;&hellip;&hellip;カタカタカタ&hellip;&hellip;&rdquo;　画面に映るモノクロの映像にガンナーのマイクが拾ったチェーンガンの音が少しだけ入っている。画面の不死者と思われる集団に、チェーンガンの砲弾の白い軌跡が触れたかと思うと不死者は爆散した。凶暴な力を秘めている三十ミリ砲弾が命中したのだ。普通の人間なら掠っただけでも肉をごっそり持っていかれる弾種だ。ヘリはそのまま横滑りしながら不死者に砲弾を叩き込んでる。白黒の画面では判別しづらいが、もうもうとした爆煙が立ち込めているらしい。だが、それも直ぐに強風で払われてバラバラに飛び散った不死者の残骸が映し出されていた。<br />
　すると昇降口の上に居た男性が立ち上がり、ヘリに向かって手を振っているのが映し出された。</p>
<p>「あっ！　栗橋さんだ！！」<br />
　東雲隊員がモニターを指差して嬉しそうに笑っている。<br />
　モニターを見ると半壊している昇降口の上で、栗橋友康が&rdquo;あの&rdquo;ラバーカップを振っている。この時点で攻撃ヘリのパイロットは友康の事は知らなかった。誰かを探せと無線で言われたが、てっきり自衛隊員を探すのだと思っていたせいだ。それに警護を言い渡されたチヌークを守る事が優先で、たまたま通りすがりに生存者と思しき男を助けたに過ぎないと思っていたのだ。<br />
　府前基地に帰投してチヌークに収容した面子から、友康の事を聞きガンカメラに写っていた男の事を思い出し、撮影データを持って来たのだった。<br />
「な？　言った通りになったじゃねぇか。　俺たちみたいに銃に頼らなくても、しぶとく生き残るのが友康なんだよ」<br />
　前原達也は自慢げに話をしている、友康の無事が確認出来たのがよほど嬉しかったのだろう。そしてホッと安心する一同。<br />
「隊長、助けに行きましょう」<br />
　すぐさまに助けに行こうと言いだす達也と東雲隊員であった。<br />
「うむ、装備を補充しておくように、これから基地指令官に会って人員の補充をお願いしてくる」<br />
　片山隊長はそういうと基地指令の元に現状報告と補充の要請に部屋を後にした。片山隊長は休みを取らずにすぐに出かけるつもりだった。</p>
<p>&rdquo;&hellip;&hellip;もう、これ以上。　仲間を失いたくない&rdquo;　片山隊長はその思いを胸に秘めて廊下を歩いていた。</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>もすげん</name>
        </author>
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    <published>2014-11-11T17:59:48+09:00</published> 
    <updated>2014-11-11T17:59:48+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５１話　猛禽の飛来</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　府前市広域ごみ焼却処分場。</p>
<p>　栗橋友康はゴミピットにある大きいクレーンの上に居た。クレーンは&rdquo;天井クレーン&rdquo;と呼ばれる酒類で、Hの字形に天井付近に取り付けられており、この手のタイプのクレーンは操作する場所は別にあるのだ。そして、そこからしか操作が出来ない。つまり、友康は自力で天井近くにある保守点検用の通路まで登らなくてはいけないのだ。<br />
　友康はゴミピットからの脱出する為にリュックの中からロープを二本取り出した。一本づつ交互にクレーンの巻上げ用ロープに縛り付け、それで自分の身体を支えつつ、登りきろうという作戦だ。<br />
　友康は最初の一本を結び、次にもう一本を少し上の部分に結ぶ。身体をそこまで引っ張り上げて、最初のロープを外して少し上の部分に結びつける。ゴミピットの底からは囚われてしまった不死者たちのほえ声が聞こえてくる。なるべく下を見ないようにしていたが、ふと怖々と下を見てしまった。<br />
「&hellip;&hellip;うがああああ！」<br />
　遥か下の方では動く黒いゴマ粒がひしめき合っているような不死者たちが見えた。黒い虫が畝っている様子に肌にプツプツが出てきそうだ。<br />
「キシャアアアア！」<br />
　中には走る不死者も居るようだが、ピットが深すぎて思うように動けなく虚しく咆哮するだけだ。きっと強化型も居るに違いないが、下からは遠すぎるのか友康は発見されていないようだ。<br />
「うひぃぃぃぃ&hellip;&hellip;」<br />
　友康はその様子に目を瞑って、思わず巻き上げロープにしがみ付いてしまったが、意を決したかのように目を見開いてロープを結ぶ作業を再開した。このロープの結び方は&rdquo;もやい結び&rdquo;と呼ばれる物で、頑丈な結び方であるが片方の紐を引っ張ると簡単に外れる結び方だ。友康は以前にロープの結び方をネットで検索した時に見つけて練習しておいたのだ。<br />
　そんな上りかたをして、小一時間ほどでクレーンガーダ（クレーン自体を吊下げている梁）にたどり着き、点検用通路に身を横たえる事が出来た。<br />
「やっと、登った&hellip;&hellip;しかし、高いなここは両方とも&rdquo;ひゅん！&rdquo;となっちまうぜ、でぅふふふ&hellip;&hellip;」<br />
　友康は安心したのか下を覗き込みながら、そんな軽口の独り言をつぶやいていた。そして、外へ脱出する方法を考え始めた。<br />
&rdquo;恐らく一階の焼却場入口の方は不死者だらけのはずだよな&hellip;&hellip;なら、職員の通用口からの脱出になるのか&hellip;&hellip;&rdquo;<br />
　友康はそんな事を考えながらクレーンガーダを渡り保守点検用の入口から建物内に入った。点検用の通路である為なのか、或は普段から人通りが少ないのか、不死者がうろついている事はなく、難なく一階の階段出口ドアまで辿り着くことが出来た。</p>
<p>&rdquo;ここでドアを開けると不死者だらけなのが、ゾンビ物のお約束なんだよな&hellip;&hellip;&rdquo;<br />
　友康は慎重だった。過去に色々と手痛い経験から学んでいる、念のために階段の昇り口にロープを張っておいた。こうしておけばいざという時に足止めが出来ると考えたのだ。本当は針金が良かったが、生憎と手持ちが無くなっていた。<br />
　まずドアに耳をぴったりと付け、ドアの向こう側の気配を伺った。幸いにも何も気配を感じないし物音も聞こえない。そこでそ～っとドアを開け顔を半分だけ外に出して素早く周りを見廻した。<br />
　覗いて見ていたのは職員用の廊下らしく事務所のドアが並んでいた。<br />
　友康は音を立て無いようにそ～っとドアを閉め、身を屈めながら焼却炉とは反対方向に歩き始めた。普通の作りであるのなら、廊下の先に職員用の出入り口があるのは経験上の知恵だ。<br />
　そして、それらしき入口は目に見えている、出入り口まで五メートル・四メートルと近づく、途中の部屋には不死者が所在無げに歩いている。外の喧噪には興味が無いようだ。三メートル・二メートル。外の風景がドアの窓越しに見えてきた。<br />
&rdquo;後、少し&hellip;&hellip;&rdquo;　友康は安全確認の為に後ろをチラリと見てから正面を向いた、その時。<br />
　ドアの窓に不死者が張り付いていた。口から涎を垂れ流しながら、左右の目はそれぞれに違う方向を見ていたが、友康と目が合った途端に咆哮しはじめた。<br />
「ィギャッハハハハ！」<br />
　よりによって強化不死者だ。本の一瞬前まで居なかったのにいきなり現れてしまった。<br />
「くっ！」<br />
　友康は回れ右をして走り出した。手元には何も武器を持っていないからだ。もっとも例え所持していても逃げたであろう。<br />
　ガシャーンと背中でガラスが割れる音を聞いたが、友康は振り返らずに保守用の階段を目指した。途中の部屋に居た不死者たちも気が付いたのか廊下に出て来ようとしているのが目の端に映った。<br />
&rdquo;&hellip;&hellip;キ、キ、キ、キ&rdquo;　不気味な音が背中越しに聞こえてくる。彼女は友康を見つけた喜びを賛美歌で表そうとしているのだ。<br />
　友康は飛びつくように保守用階段の入口ドアを開けた。<br />
&rdquo;キュィーーンッ　パゥンンッ！&rdquo;<br />
　扉を開け中に飛び込むのと同時に讃美歌の咆哮があった。その衝撃波は開け放れていたドアにモロに命中し弾き飛ばしてしまった。友康は衝撃波の余波を受けて壁に叩きつけられてしまった。</p>
<p>　壁に叩きつけられて頭を打った衝撃と、クラクラとする頭を振りなんとか立ち上がる友康。もっとも頭への衝撃だけでなく、咄嗟に両腕で耳を庇っていても襲ってきた超音波のせいでもある。<br />
「&hellip;&hellip;や、やばい。　今ので不死者が集まって来てしまうよ」<br />
　身体を壁にもたれさせ、一歩づつ階段に向かう友康。廊下からはざわざわと気配が漂い始めた。その中に&rdquo;タッタッタッ&rdquo;と走る音が混じっているのを聞き逃さなかった。讃美歌を詠った強化不死者が中に入り込んだに違いない。<br />
　友康は階段に張ったロープを潜り、上階への階段を上りだした。一階の折り返しの所で後ろを振り返ると、階段の入口には何体かの不死者が居た。その後ろに強化不死者が居るのが見える。<br />
「ィギャッハハハハ！」<br />
　しかし、強化不死者は歩く不死者が邪魔で中に入って来られないらしい。他の不死者たちと入口の所で押し合いをしていた。友康は今の内に距離を稼ごうと階段を一段飛ばしで上り始めた。すると空気が振動するのを感じ始めた。その独特の音に気がついた友康。　&rdquo;これはヘリの風切音だ。　恐らく救助が間に合って自分を探して居るに違いない！&rdquo;　そう考えた友康は今度は二段飛ばしで屋上への階段を上り、昇降口の椅子やら木材を乗り越えて屋上へと飛び出した。</p>
<p>　ごみ焼却場の周りは、爆撃の影響で炎と煙が立ちこめていた。視界が限られているのかヘリはゆっくりと飛んでいるが、その姿勢は焼却場を向いてはおらず、今にも立ち去ろうとしているかのようだった。<br />
「ああぁぁぁぁ&hellip;&hellip;　待ってぇぇーー！　ここっ！！　ここに居るよぉぉぉーーー！！！」<br />
　ゴミ処分場の屋上に着いた友康はラバーカップを振り回しながら叫んだが、無情にもヘリの機影はどんどん小さくなっていく。<br />
「ああぁぁぁぁ&hellip;&hellip;　行っちゃった&hellip;&hellip;」<br />
　友康はガックリと肩を落としてビルの縁に立っていた。その時、&rdquo;ぞわり&rdquo;とした感覚が友康の背中を流れた。救助ヘリに夢中で良く確かめずに屋上に出てしまったのだ。<br />
&rdquo;&hellip;&hellip;　ひょっとしてやっちまった？&rdquo;<br />
　恐る恐る後ろを振り返る友康。<br />
「うがああああ！」<br />
　やはり、不死者だ。屋上には不死者の集団が居たのだ。そういえば屋上への昇降口にバリケードらしき残骸があった事を思い出した。恐らく事変が発生した時の生き残りが立てこもったのであろう。そして、噛まれたか或は元から感染者が居たかで、不死者が発生して全滅してしまったと推測される。<br />
　友康は思わず後ろに居た不死者の襟首を掴んで屋上の縁から投げ落とした。元女性だったと見えて身体がそんなに重くなかったのが幸いだった。周りを見渡すと他に五体の不死者がいる。一体は女性らしき不死者で残りの四体は子供の不死者だ。<br />
　見ると屋上の隅の方に机で仕切られた領域があり、友康はそこに逃げ込もうとした。いくら体が軽い女子供といえども一辺に来られると手に余ってしまう。滑り込むように避難領域に逃げ込んで見ると猟銃が落ちていた。<br />
「ここで戦った奴がいるのか&hellip;&hellip;　居ないと言うことは&hellip;&hellip;　自分で自分を始末したんだろうな&hellip;&hellip;」<br />
　そんな事を考えていると残りの不死者が避難領域に侵入してくる。友康はリュックからビニール袋を取り出し不死者の頭に被せていった。これで不死者をやっつけることが出来る訳では無いが目くらましには使えるのだ。それに始末する時に顔を見なくて済む。<br />
　いくら不死者でも子供を始末するのは気が引けてしまう。友康もまた普通のいち市民なのだ。ビニール袋を被せられた不死者は手探りで友康を探そうとするが、軽々と避けながら一人づつ抱えて屋上から放り出した。気は引けるけど同情すると自分の身が危ない。仕方がない事と友康は割り切る事にしている。</p>
<p>　友康は屋上に居た不死者全員を放り出してから、先ほど見つけた猟銃を調べて見た。だが、残念な事に弾は空砲が幾つかしか無かった。実弾は全て使い切ったと伺える。猟銃の台尻に血の跡がこびり付いて居る所を見ると、最後には棍棒代わりにして戦ったのだろう。<br />
　友康はポケットティッシュを取り出し、水に浸して釘やボルトを包み始めた。銃弾代りにする為だ。無ければ作れば良いのだ。実にシンプルな考え方だ。だが、速射が効かない。一回使ったら次が無いのだが、何も無いよりはマシだろう。<br />
&rdquo;&hellip;&hellip;キ、キ、キ、キ&rdquo;<br />
　すると昇降口の所から嫌な音が聞こえ始める、強化不死者が到着してしまったのだろう。<br />
&rdquo;キュィーーンッ　パゥンンッ！&rdquo;<br />
　賛美歌と共に昇降口にあったバリケードもどきが吹き飛んだ。でたらめに積んであれば威力が軽減されたのだが、バリケードを積んだ人間は几帳面だったのだろう。超音波砲をモロに受け止めてしまったらしく、丁寧に積まれたバリケードは雑多なゴミとなって屋上から吹き飛んでいった。<br />
「まずい&hellip;&hellip;」<br />
　友康は急いで昇降口の屋根に昇って、不死者たちから隠れた。何も無い屋上では他に隠れる適当な場所が無かったのだ。<br />
　そーっと昇降口から覗き見ると不死者たちが、次々と屋上に入り込んで来た。中には下半身の無い者も居る。階段に張ったロープで切断されたのだろう。そして、やっかいな強化不死者も三体も入り込んで来た。<br />
「そか、そういえば呼びかけ行動をしていたな&hellip;&hellip;」<br />
&rdquo;ィギャッハハハハ！&rdquo;これは友康を見つけた事を知らせる呼びかけ行動らしく、付近の強化不死者が集める行動らしかった。友康はどこかに逃げ道は無いかと探ってみた。後ろは取っ掛かりの無いビルの壁、地上まで２０メートル以上はある。ロープは階段の所で使い切ってしまった。手にはなんちゃって猟銃とラバーカップ&hellip;&hellip;</p>
<p>　強化不死者は執拗に友康を探して屋上を伸し歩いている。普通の歩く奴も十体以上いる。さて、どうしたものかと下を覗き込んだ時に強化不死者と目が合ってしまった。<br />
「まずっ！」「ィギャッハハハハ！」<br />
　友康は慌てて頭を引っ込めたが遅かった。見つかってしまたのだ。<br />
&rdquo;&hellip;&hellip;キ、キ、キ、キ&rdquo;<br />
　再び彼女たちは歌おうとしている。何しろ恋い焦がれる友康を見つけたのだ。<br />
&rdquo;キュィーーンッ　パゥンンッ！&rdquo;<br />
「こんな所でむざむざやられて堪るか！　くらえっ！！」　&rdquo;ドンッ！&rdquo;<br />
　友康は即席の弾を入れた猟銃で正面の強化不死者に発砲した。弾を詰めすぎていたのかバレルが割れてしまったが、弾丸代わりの釘やナットは強化不死者に命中し、口の中に入ったボルトは彼女の後頭部を吹き飛ばした。<br />
　しかし、残りの二体の阻止には間に合わなかった。彼女たちの歌は昇降口の壁を壊してしまったのだ。その衝撃で昇降口の中に居た不死者たちが押しつぶされてしまった。<br />
「同胞が死ぬのもお構いなしかよ！」<br />
　超音波砲は連射出来ない、しかし屋上には他にも強化不死者がいる。友康は昇降口の上で強化不死者二体に囲まれているのだ。残りの武器はラバーカップのみ。超音波砲で攻撃されて、半壊した昇降口の上で絶体絶命な状況に達観してしまった友康。<br />
「&hellip;&hellip;くそっ、他に手は無いのか」</p>
<p>　その時、ごみ焼却場の建物が震えた、震えたというより振動したが正しい。周辺の空気を振動させる脈動が伝わって来る。&rdquo;え！？&rdquo;と思っていると隣のビルの陰から猛禽が飛来してきた。<br />
　ＡＨ－６４Ｄアパッチ攻撃ヘリだ。戦車を屠るのに使用される空を飛ぶ猛禽だ。<br />
　その猛禽は屋上に居た強化不死者を２０ミリガトリング砲で砲撃して粉砕した。兵隊が持つ小銃弾は弾いいてしまえる強化不死者も、装甲車などを撃破する事を目的に強化されている２０ミリ砲弾は無理だったようだ。風船が壊れる時のようにパチンと弾けて、その血肉を撒き散らすように粉砕されていく。<br />
　ＡＨ－６４Ｄアパッチは、姿勢をそのままに横滑りしながら、屋上にたむろする不死者たちに死のダンスをプレゼントしていった。何発かに一発の割合で含まれている曳航弾が蛇のように荒れ狂い、その触手に似た赤い光で不死者を次々と粉砕していくのだ。<br />
　時間はものの一分も掛っていないが、友康には永遠に続くかと思われた。何しろ自分の横を機銃弾が通り過ぎて行くのだ。恐ろしいのにも程がある。しかし、あれだけ苦労して逃げ回った強化不死者を、攻撃ヘリはいとも簡単にやっつけてくれた。安心したのか友康は攻撃ヘリに向かって手を振った。<br />
　ヘリのガンナーは人差し指と中指の２本で軽く敬礼して去っていった。<br />
「ありがとぉーー！」<br />
　どうせ聞こえないと思っていたが、ラバーカップを振りながら友康は叫んだ。　だが、ハタと気がついた。</p>
<p>「あ&hellip;&hellip;乗せて貰えば良かった&hellip;&hellip;」</p>
<p>&nbsp;</p>]]> 
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            <name>もすげん</name>
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    <published>2014-11-02T10:00:46+09:00</published> 
    <updated>2014-11-02T10:00:46+09:00</updated> 
    <category term="未選択" label="未選択" />
    <title>第５０話　震える大地</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p>　病院棟の屋上。</p>
<p>　病院棟の屋上に沈黙が流れていく。爆撃機の姿は夜明け前の薄明かりの中でもはっきりと見えていた。きっと上空の方が明かりが先に来ているのであろう。その行方を全員が見守っているのだ。<br />
「一個飛行中隊だから四機、一機に付き四発爆弾を積んでいるはずだから中隊全部で十六発」<br />
「子爆弾（スキート）は一発に付き四十個だから合計六百四十個か&hellip;&hellip;」<br />
「サッカーコート十面分くらいの広大なエリアを吹き飛ばしますね&hellip;&hellip;」<br />
　小山隊員と東雲隊員が上空の爆撃機を見ながら話し合っている。やがて、目標を定めたのか高度を落とし始め、それを投下しはじめた。<br />
　空中から投下される爆弾は遠目にも大きいのが判るほどだ。ぱっと見だと電信柱を無造作に切ったような格好だった。それが空中分解したかと思うと雲霞の様に子爆弾を周囲に撒き散らした。まるでヒヨドリの集団が飛行してるみたいだ。<br />
　最初は散発的に爆発している様子が見えていたが、やがてそれらの雲霞は一斉に爆発した。どろどろとした爆音と共に、黒々とした爆炎が拡がり衝撃波が白い弧を描いて空中に広がって行った。<br />
「&hellip;&hellip;あいつ、旨く逃げる事が出来たかな？」<br />
　前原達也がポツリと呟いた。あいつとは栗橋友康の事だ。全員、爆炎が空高く昇って行くのを見て黙りこくってしまった。そして煙を照らし出すかのように太陽光が差し込み始めた。怒りに震えた大地を慰めるかのように光が差し始めたのだ。<br />
　雲の隙間などから光が伸びるような現象を&rdquo;天使の階段&rdquo;と呼ぶそうだ。爆炎の煙から伸びる光は&rdquo;悪魔の階段&rdquo;と呼ぶのだろうか？達也はそんな事を考えた。『前原さんは神様に会った事はあるんですか？　僕は無いですよ。　だから神様なんかいないんですよ。　でゅふふふ』　そんな馬鹿話を友康をしていた事を不意に思い出したりもした。『達也でいいよ。　しかし真面目な信仰心を瞬殺だなお前の話』　そう言って二人で笑ったりもした。<br />
　やがて、空が明るくなり始めた頃には、空気を乱暴に振動させながらＣＨ－４７チヌークが接近してきた。周りには攻撃ヘリも帯同している。ヘリは乱暴に着陸しキャビン後方のランプ・ドアを開けた。そして、屋上に居た片山隊長を始めとする一行は猛烈な風圧の中を頭を低くしてランプ・ドアから機内に収納されていった。</p>
<p>　ヘリは一同が乗り込むと時間を惜しむかのように上昇して行った。<br />
「操縦手。　爆撃地点の上空を旋回してくれませんか？　仲間が取り残されている可能性があるんです」<br />
　片山隊長はヘリの操縦手に頼み込んだ。少しでも可能性があるのなら友康を捜索してやりたかったのだ。<br />
「いいですよ。　でも、何時間も飛んでいられません。　護衛の武装ヘリが居ますから、そちらにも連絡しておきますね」<br />
　操縦手は快諾した。しかし、この後に飛行予定があるので、いつまでも飛べないとも言っていた。<br />
　病棟のヘリポートから離陸したヘリは上空から下を見て爆撃後の惨状を見て回った。しかし、目の前に広がる光景に一同は息を飲んだ。密集している建物も地面もボコボコに穴が開き、その周りにばらばらに砕け散った不死者たちや、手足がもげても蠢いている不死者などがいる。放置されていた車両は煙を上げて燃えている物もある。それだけクラスター爆弾の威力は凄かった。しかし、肝心の友康が見当たらないのだ。<br />
「対装甲車用のクラスター爆弾を使ったみたいですね、対人用だったら地面に深い穴は開かないですから&hellip;&hellip;」<br />
　小山隊員が双眼鏡で下を監視しながら言った。対人用は爆弾の周りに破片を爆散させて敵兵を死傷させるが、対装甲車用はノイマン効果を応用する為に爆発力が一点に集中するようになっている。そして装甲に穴を開けて装甲車内の敵兵を死傷させる。だから地面に深めの穴が開いているのだろうと推測した。<br />
「それにしては爆発してる地点がバラけているね？」<br />
　松畑隆二が目の前に広がる光景を見ながら尋ねた、対装甲車用ならレーダーなどが反応する車などに集中して当たるため、地面などに余り落下しないと考えたのだ。<br />
「装甲車を見つける為のセンサーをＯＦＦにでもしておいたんじゃないですか？」<br />
　小山隊員が双眼鏡を覗きながら言った。<br />
「そうか、用途限定の武器は余り役に立たなくなってしまいますからね&hellip;&hellip;」<br />
　反対側の窓から下を見ていた東雲隊員が話を繋いで言った。<br />
「銃弾が効かない強化不死者が居ると、米軍も知ってますから念のためにと対人用ではなく対装甲車用をくれたんじゃないですかね」<br />
　小山隊員は目をこすりながら言っている、揺れる機内から見ているので疲れてしまうらしい。他の隊員たちも窓から必死になって友康を探していた。<br />
「そっか、威力が小さいと破片では強化不死者は葬れないから対装甲車用を使うのか&hellip;&hellip;」<br />
　武器を効率的に運用する人たちは考え方が違うのだなと隆二は感心した。</p>
<p>　その時。<br />
「&hellip;&hellip;！　白い布を振ってる人がいる！」<br />
　監視していた小山隊員が叫んだ。見ると三階立ての住宅の屋上でシーツを振り回している男性が見えた。隆二は思わず小山隊員の双眼鏡を奪い取って覗き込んだ。しかし、見えたのは中年の男性で他に女性が二人居るのが見えた。<br />
「友康！　&hellip;&hellip;って違う人か」<br />
　隆二ががっくりして双眼鏡を返した。小山隊員は苦笑しながら双眼鏡を受け取った。いつもひょうひょうとしているが、こんなにも慌てるのは珍しいからだ。小山隊員も隆二が友康の事が心配で貯まらないのを解っているのだろう、いきなり双眼鏡を奪った事を特に非難はしなかった。<br />
「まあ、そう言わずに助けよう。　小山！　ラベリングの用意をしろ」<br />
　片山隊長も同じように苦笑しながら指示を出した。小山隊員が片手を挙げて了解の意思を示した。<br />
「操縦手。　上空でホバリングを！」<br />
　操縦手が前方を向いたまま片手で合図している。片山隊長は次々と指示を出す。<br />
「東雲隊員は救助者の受け入れ準備を行え、木村さんは釣り上げクレーンの操作をお願いします」<br />
「了解」<br />
　木村はクレーン操作の為に後部に移動した。<br />
「柴田さんは怪我の有無を確認をお願いします」<br />
「はい」<br />
　柴田医師はポケットにしまってあった聴診器を出そうとしたが、ロープが出て来て焦ってしまった。後ろからため息を付きながら、冨田看護師が聴診器を渡していた。</p>
<p>　思いがけずに生き残りの一家を発見したが、ヘリに居た隊員たちはテキパキと動いた。そしてヘリはホバリングしながら救助を開始した。まず小山隊員が救出用のケーブルにぶら下がって屋上まで降り、最初の救助者を自らの安全ベルトに巻き付けて一緒にクレーンで上がって来た。一家の娘さんらしい。<br />
「爆撃の前に男性を見かけませんでしたか？　ママチャリに乗っていたはずなんです」<br />
　達也は最初に釣り上げて救助した娘さんに友康の背格好や特徴を交えながら尋ねた。<br />
「ええ、ママチャリには乗っていませんでしたけど、小さいリュックを背負った男の人が泣き喚きながら大通りを東の方に走って行きましたよ」<br />
　救助された娘は、最初に簡単に救助のお礼を言った後に友康の事を話し始めた。どうやら彼女たち一家は友康の逃避行を見ていたらしい。<br />
「その男性は不死者全員に追い掛け回されていたみたいです。　１千人近く居たんじゃないかと思います」<br />
　次に救助された母親らしき女性が言った。なぜ友康があそこまで不死者に執着されるのかが、不思議でしょうがなかったらしい。<br />
「凄い人でしたよ。関心な事に不死者たちの間を巧みに避けて逃げてましたね」<br />
　最後に後から乗り込んで来た一家の主人が話を繋げた。救助した一家は友康が逃げ惑う様子を見ていたらしかった。しかし、ごく普通の市民である彼らに、友康を助ける手段も無く見ている事しか出来なかった。助けてあげられなくて済まないとも言っていた。<br />
「仕方ないですよ、誰もがヒーローになれる訳ではないですから&hellip;&hellip;」<br />
　片山隊長は一家に声をかけていた。</p>
<p>「その後、彼はどうしましたか？」<br />
　達也は、友康の行動が知りたかった、どこかに生き残っている可能性があるからだ。<br />
「それが&hellip;&hellip;　あの後、地面が一斉に爆発したんで何も見ていないんです」<br />
「おっかなくて一家全員で家の中で伏せてました」<br />
「あの家にも爆弾の一発が落ちて天井に穴が開いたくらいです」<br />
　一家は口々に言い出した。見ると一家の居た建物からは煙が上がっている。建物に着弾した子爆弾は一階まで突き抜けてから爆発したらしかった。<br />
「友康は生き埋めになってる可能性があります。　自分をここで降下させてください」<br />
　達也は単独での捜索を片山隊長に願い出た。大通りを東の方に行ったと一家は言っている、少なくとも生存しているかもしれないエリアは確定できた。そこを集中的に探せばいいのだ。<br />
「駄目だ。　碌な装備も無しで探索に行かせる訳にはいかない、一度基地に行って人員の補充と装備を整えてからだ」<br />
　片山隊長は毅然として言った。そして片山隊長の判断は正しい。十分な装備と後方支援の用意は二次被害を出さないためだ。一刻も早く駆け付けたいのは判るが、だからこそ準備は怠りなくやるのが救助の基本中の基本だ。救助に行った人員が失われては何の為に行動したのかが判らなくなる。<br />
　それに、もし友康がヘリの飛行音を聞いたのなら、何等かの合図をとるはずだ。それが無いという事は事態が深刻になってる可能性もある。だから万全の体制で確実に救出したい、片山隊長はそう考えた。<br />
「大丈夫。　友康は必ず生きてるよ&hellip;&hellip;」<br />
　片山隊長は自分に言い聞かせるように呟いていた。指揮官で無ければ彼が一番最初にヘリを飛び下りていたに違いないからだ。<br />
　その後、救助ヘリは爆撃地上空をひとしきり旋回した後に、名残り惜しそうに府前基地に帰投していった。</p>
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            <name>もすげん</name>
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